Story34 ページ36
森から幾つかの霊気と妖気が遠ざかる。幽助達は無事に帰れたようだ。
「…どうしよう。雨降ってきたや」
生憎なことに雨具など持ち合わせていない。近くの木に寄りかかり雨を凌ごうと試みるが完全には防げず、肩に雫が落ちてくる。
ざっ、ざっ。
雨音の中に、違う音が混ざった。
「久し振りだな、裕加」
その足音は、その声は長年待ったものなのか。
「……嘉六。こんな所で会うなんて奇遇だね。」
「この数年間で幾分か強くなったな」
そう言い腰から刀を抜き臨戦態勢をとる。裕加はクナイしか持ち合わせていない。クナイを構えた瞬間、ビュン、と風切る音。
(速い…！)
右手に持ったクナイで何とか刀を受け止める。
「っ！」
そこからは防戦一方だった。ろくに反撃も出来ず受け止めるだけ。回を増すごとに鋭く重くなる攻撃にジリジリと圧されていく。不意に均衡が崩れる。裕加が重みに耐えられず足を滑らせたのだ。そのまま地面に倒れれば、首元に添えられた刀。
「大した成長だ。だが、まだ俺には及ばない。」
そっと刀を鞘にしまう。その動作を見届け、腰を上げれば泥まみれになった制服にやっと気付く。
「二ヶ月後に暗黒武術会が開催される。浦飯幽助、桑原和真、蔵馬、飛影をゲストとして迎えるらしい。そこで五人目に君を迎えたい。」
「幻海師範と戸愚呂の因縁…か…」
「俺には詳しいことは分からない。それなりに戸愚呂とは付き合いがあるつもりだが…」
それは裕加も同じだった。嘉六ほど戸愚呂との付き合いが長いわけではないが、霊光波動拳の継承者を長年待ち続けているという話はよく分からない。確かに幽助は霊光波動拳の継承者だ。それが暗黒武術会と何の関係があるというのだろうか。
「今のままなら一回戦で負ける。必ずね。この二ヶ月でどれだけ成長するのか楽しみだよ」
それだけを言い残し森の奥深くへと消えた。数年前までは剣戟を避けることしか出来なかった。今は受け止めることしか出来ない。
(強さが欲しい。攻撃を流し反撃する強さが)
降り頻る雨の中で裕加は一人考える。泥まみれになった制服も雨に濡れていることも忘れて。
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アマミヤ(プロフ) - 夾さん» コメントありがとうございます！飛影かっこいいですよね〜分かります(^ー^)これからも宜しくお願いします！ (2020年3月21日 18時) (
レス) id: fc88c8f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
夾 - ここまで読ませて頂きました。飛影がかっこいいです！これからも頑張ってください！ (2020年3月21日 18時) (レス) id: d64271d75d (このIDを非表示/違反報告)
アマミヤ(プロフ) - 灯霧さん» コメントありがとうございます(*ゝω・)ﾉ 是非、読ませて頂きます！頑張って更新していきます！ (2020年3月10日 11時) (レス) id: fc88c8f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - とても楽しいお話ありがとうございます！私も飛影オチの連載載せているので、良ければ見てください！そして続編の方の更新もお待ちしてます！ (2020年3月9日 16時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - アマミヤさん» 分かりました。更新再開お待ちしてます。更新頑張って下さい。 (2020年1月19日 15時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アマミヤ | 作成日時：2019年8月31日 20時
