ジャルドーレ通りの死神【派生作品】 (ページ3)

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恨みページ3

罪人ジェシー・ドライヴァー
罪名殺人罪
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「という事で、私に依頼したのはデニス・ロイス。彼の最期の言葉もデニス・ロイスに関することでした。──そろそろ解放されてもいい頃なんですが」
と言うと、リーアム男爵は恨めしげに睨んだ後、私の前から退いた。
燕尾服に付いた土を軽く落とすと、考え込んだリーアム男爵が私を再度見る。
「何かついてますか？砂の汚れ以外で」
「いや…変な奴だな、と思って…だな。公僕にしちゃ潔く裏切る」
「男爵に喧嘩売るのも…嘘です、我が身が大事ですので」
こうやって伯爵を売ったのに喧嘩も何もと思い、本心を言い直す。
体格の良い彼に何度も殴られていたら、また医者の世話になってしまうだろう。医者も医者で忙しいのだ。少し申し訳ない。
しかし、公僕か。
「…毒気が抜けた。確かに憎いが、今日の所はここで退いてやる」
「またまた、次があるような言い方を」
「多分もう、会うこともないだろう」
貴方の仲間さんがまた排除されたらまた会うんでしょうけどね。
と、最低なブラックジョークを思い付いたが火に油は注がない。
「仕事があるので、さようなら」
「処刑か…」
露骨に顔を顰められる。これしか仕事がないんだ、仕方ないだろう。
私だって誰も殺したくない。これは本心だ。
リーアム男爵に背中を向け、懐から手紙を取り出す。
次は──殺人罪、ジェシー・ドライヴァー…か。確か路地裏の少女だったはず。昔食べ物を恵んだ…乞食の子供。
皮肉なものだ。昔助けた子供を私が殺す。
子供……気が進まないものだ。いや、誰だって気が進まないものだけれど。

組み立てられた木の処刑台に目をやる。
私の知り合いには所謂『良い貴族』が多いのだが、まあ趣味の悪い貴族様だっていらっしゃる。一気に絞首刑でいいだろうに、態々私達に殺させる。全く良い趣味だ。褒めてはいない。むしろ逆。
鋸を手に取る。今度はこれで殺せと指示されているようで(実際されているのだが)虫唾が走った。
処刑台には一人の少女がいた。金髪の汚れた子供。
周りを取り囲むのはのぼせ上がった大人達。少女の細い首がはねられるのが、今か今かと叫んでいる。

汚い、汚い光景。これが私の日常で…私が死神たる所以。

ゆっくり、血に飢えた鋸を振り上げる。
鋸の刃はさっくりと斬れる様に限界まで業者に研いで貰っている。できるだけ楽に、早く。
少女を見世物から解放させる。

観客の怒号と少女の最期の淡い声が消えた。
首が、落ちた。