隣の家の降谷さん3rd 【 降谷零 】

第九十一話 ページ6

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｢…降谷くんうちの娘どう？｣

｢ちょ、お、お母さん！！｣



粗方ご飯も食べ終わりお腹を摩る頃、やけにソワソワしていたお母さんが急に口を開いて降谷さんを見る。


予想していた通りお母さんの口から放たれた言葉は最早爆弾と何ら変わりはなく、私の肝を冷えさせるには充分すぎた。



｢……そう、ですね。……俺は好きですよAさんのこと。｣

｢ちょ、ふ、ふるたにさん！？｣

｢…俺はふるや、です。｣

｢あ、ご、ごめんなさい…？｣



青春時代を彷彿とさせるような金切り声に似たお母さんの叫び声と心做しか嬉しそうに見えるお父さん、両方の姿が目に入って頭を抑えた。


あぁ、もう。
降谷さんそれ、言わないお約束でしたよね。



｢もう、降谷くんいいわよ、この子と付き合っちゃって！｣

｢お父さんもいいと思う！｣

｢いや勝手に決めないで！？降谷さんももうちょっと考えましょう？｣

｢……何で？Aさんと俺、結構長く一緒にいただろ。｣

｢誤解を生む言い方やめて下さい！！｣



なんだか私だけ場違いな雰囲気のようだ。
この部屋内にいる全員がきょとんと私の方を見ると首を傾げ意味が分からなさそうな表情をしていた。


意味が分からないのはこっちなんだって！




｢何で駄目なの？降谷くんいい子じゃない。｣

｢いや、まだ会って間もないし…。｣

｢そんなのこれから知ってけばいいんじゃないの？｣

｢そ、それで嫌になっちゃったら降谷さんに迷惑かかるでしょ。｣

｢俺は別に構わないけど？｣


ぐいっと近寄る降谷さんの顔にお母さん達の熱も更に上がる。

端正な顔立ちをした降谷さんが目の前にいるだけでもうお腹いっぱいなのに顔なんか近づけられたら…困るに決まってる。



｢……顔真っ赤、初なのか？｣

｢……う、うるさいです！ふるたにさん！！｣

｢だから、俺はふるや。｣



肘をつき歯を見せ、意地悪く笑った笑顔は見た事の無い降谷さんの新しい表情そのもの。

頭をぽんと撫でられるとじんわり置かれた部分が熱を持ち始め暑くなる。


セットされた髪の毛をぐしゃぐしゃにされて少しだけムッとしたけれど降谷さんが所定の位置に戻っていったのを見て何も出来ずに終わった。



｢大丈夫です葛西さん。俺がAさんを惚れさせてみせますから。｣





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