第百十八話 ページ33
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『彼氏が出来た!?』
「う、うん……だから、お見合いのお話は無かったことに…。」
あの日から時は数日流れ、現在両親に報告中だ。
まさか、お見合い相手の双子の弟さんと付き合うだなんてことを言った日には2人とも示しがつかないだろうからその事はなるべく伏せる。
向こう側から流れてくる人々の喧騒より大きな声で叫ばれると受話器を離しながら叫んだ余韻が響き渡るのを止むまでじっと待つ。
怒ってないみたいだけれども、多分反対はしてるんだろうな。
『じゃあ、降谷くんにお断りの連絡を入れるってこと?』
「うん、そうしてもらえるとありがたいんだけど…。」
『なんで降谷くんじゃダメなの?』
「いやぁ、人間の心理に何でと言われましても…。」
『お母さん、降谷くんがいいと思うわよ。……ちょっと考え直してみなさい。帰国したらその彼氏と会ってあげるから。』
「ええ、なんで駄目なの。」
『何でもよ、じゃあお母さん切るわね。』
それだけ告げると聞こえる電子音に向かって大きく深く溜息。
面倒な事になったなぁ……この調子で行けばお母さんはすぐ帰国してくるだろう。
そうしたら安室さんと会うことになる。
と言うことは安室さんが降谷さんに似ていることもバレる。
ソファの上でうんうん唸っているとピンポーン、とインターホンが音楽を奏でる。
身を起こして扉を開けば話の中心人物、安室さんが立っていた。
「Aさん。」
「あれ、安室さん。どうかしたの?」
「いや、たまたまここに寄れたから来ただけだよ。本当何度来てもこのマンション凄いね。」
「そうかな、中入っていく?」
「うん、お言葉に甘えようかな。」
中に入って律儀に靴を揃える安室さんの普段の紳士さが滲み出て思わず笑みが零れた。
お茶でも用意しようかとリビングへ向かうと腕を取られ安室さんの腕の中に閉じ込められる。
そのまま床に倒れ込めばより一層強い力で抱き締められてその腕の上にそっと自分の手を乗っけるとぴくり安室さんの体が微動した。
「突然どうしたの?」
「……甘えたくて…駄目?」
「まだ慣れてないし…恥ずかしいよ。」
「だろうね。心臓の音、凄く脈打ってる。」
「もう、またからかってる。」
「ねえ、好きだよ。」
耳元で囁かれた突然の言葉に顔は真っ赤。
時計の秒針が鳴り響くのも気にせずしばらく二人、その状態で時を過ごした。
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花帆 - こんばんは、安室さんとの両想い…!!甘くてトキメキます(*´ω`*)これからの展開も楽しみに応援しております♪ (2018年7月17日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
瑛奈(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいます!ついに夢主ちゃん、安室さんが好きだって自覚しちゃいましたね(笑)今後の展開で降谷さんとしてはどう動くのか楽しみです(笑)更新大変かもしれませんが頑張ってください! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 7374128719 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!夢主さんどんどん大変になってきますね…実質は相手2人なのに(笑) 目が離せません! (2018年6月18日 9時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
mao(プロフ) - 更新ご苦労様です!主人公うらやましい!(笑)安室さんファイトって応援したくなりますね! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 5697599ead (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - salomeさん» もう、いろんな人たちがてんやわんやしてますね…!工程通り進めましたが中々書く方はハードです…笑 これからどうなるかどうぞお楽しみに! (2018年6月17日 19時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来夢*゚ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/playlistra/
作成日時:2018年6月13日 20時