昨日の記憶 ページ30
hk side
ふと目を覚まして体を起こす……
つもりが、なにかにがっちりホールドされてて
不可能に終わる。
どこか既読感のある、優しい匂い。
なぜか泣きたくなるような温もり。
その原因を探すように横を向くと
泣きたくなる理由がなぜか、一瞬で気付いた。
hk「……やぶ」
小さく溢れた声は、彼の名を紡いだ。
それに反応するように、「んぅ」と声を漏らした彼は
俺をホールドする力を緩めた。
その隙に俺はその腕から抜け出して
当たりを見渡す。
そして昨日のことをじわじわと思い出して
なんとも言えない気持ちになる。
『好きだよ、ッッ』
そんな昨日の薮の言葉。
俺の言葉に応えてくれた、そんな彼の言葉。
ねぇ、薮…
hk「今日は、憶えて、たよ……?」
薮の暖かい優しさも、俺のバカみたいなワガママも。
全部ぜんぶ、ちゃんと憶えてる。
無意識に、突発的に零れ出した涙。
胸が、嫌になるほど苦しくなって…
せっかく寝てる薮を起こさないようにって
頑張って堪えようとするのに、嗚咽は微かに漏れるし
涙は止まるどころか増す一方だし…
そんな葛藤と一人闘っていると_
____ギュッッ
yb「…光」
hk「ふぁ?!」
俺の耳元で、君の声が聞こえた。
…俺の好きな、君の声が
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作者名:希望(ひかり) | 作成日時:2021年12月28日 17時