いつまで ページ40
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二宮さんの腕をつかむ手にまた力を込めたら、二宮さんが「離せ」と文句を吐き出した。
それに答えず、私は脈絡なく言葉を紡ぎだす。
「二宮さんが私に敬語を使うように言った時のこと、覚えてる？」
唐突な私の言葉に二宮さんはその眉をぎゅっと寄せる。
それがあまりにも翔さんに見せる表情とは違うから、なんだか妙にほっとした。
いつもの二宮さんだ。
私がそう思っていることは、たぶん二宮さんには伝わってない。
「…覚えてるよ。就職したときだろ」
二宮さんと同じ会社に就職したいんだけど、と言った私に心底迷惑そうな顔をした二宮さんの姿をたぶん私は忘れない。
本当に嫌そうに「ぜってーダメ」と言っていたけれど、それは無視して私はしっかり就活をこなした。
「そう。会社でちゃんと敬語使えるように普段から練習しとけって」
「そうだな」
二宮さんと同じ会社に就職することが決まった日、二宮さんは私にそんなことを言った。
七つ年上の二宮さんに私はほとんど敬語を使ったことがなかったから、言われてみればそうかもしれないけど、でもそれは距離がある感じがして嫌だと首を振ったら「じゃあ来年からフリーターだなおめでとう」とニッコリ笑みを向けられて、仕方なくこくりと頷いたのが去年の話。
二宮さんに言われたことだから努力して、会社にいるときとか仕事の話してるときとか、二人で家にいるときだってなるべく使うようにした。
それでも二宮さんが魔法使いの時は元の話し方に戻るし、どちらかと言えば敬語じゃない時間が多くはなっていたけれど。
それでも距離が出来た気がして。
「私ね、すごく寂しかったんだよ」
「……俺は保護者としてだな、」
「ねぇ、二宮さん」
ちょっとだけ、遮る声が大きくなっちゃったから。
二宮さんが続くはずだった言葉になりそこないの息を飲み込む。
これはちゃんと目を見て伝えなきゃいけないと思って、私はその夜の色を吸収していつもより深い色をした茶色い目を覗き込んだ。
「二宮さんはいつまで私の保護者なの？私はいつまでガキなの？」
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橘花(プロフ) - ４章おつかれさまです…！対峙シーン承知しました！機会を待ってますね♪甘いような甘くないような。王子様でもお姫様でもない2人だけが分かる世界、が素敵ですね。言葉は甘くないけど、温度が甘い二宮さんの言葉がたまりません。5章もたのしみにお邪魔します♪ (2019年11月12日 17時) (
レス) id: c96c7aeb8a (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - 橘花さん» あまり頻発するのもよくないんですが、このシーンばかりは流石に多くなりました。大切な位置付けですのでそう言っていただけてよかったです♪NさんMさんの対峙シーンは主人公不在場面のお話なので本編では予定していないのですごめんなさい(>_<)機会があればどこかで! (2019年11月1日 22時) (レス) id: a52d40e8ad (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - はっきりわかったようですね…！ずっとおっしゃっている魔法使い、お姫様、王子様、が一貫して出てきてくれるので、わかりやすくて助かります！二宮さんと松本さんの対峙場面も見れますかね。 (2019年11月1日 19時) (レス) id: c96c7aeb8a (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - 橘花さん» 一連のシーンはNさんの言い回しなんかも考えながら書いたので気に入っていただけてよかったです！おっしゃる通り、みんなにはヒロインも含まれております。少しずつお話は終わりへ向かう感じですが引き続きお付き合いいただければ嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2019年10月31日 18時) (レス) id: a52d40e8ad (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - Ｎさん！Ｎさん！！独白すてきでした…。｢水瀬を返せ｣も痺れましたが、その後の憑き物を落とす豹変ぶりが大好きなＮさんでした…！そして｢みんな歪んでる｣というつぶやき的なの答えというか。水瀬ちゃんもやっぱりお話のみんななんですよね。次はＳさんの気持ち…。 (2019年10月30日 21時) (レス) id: c96c7aeb8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年10月14日 19時
