甘く、沈む。《ars/k.n,s.s》 (ページ24)

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黙ってろページ24

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ちょっと気持ちよさそうで可愛いけど、そんなこと思ってる場合じゃない。

「ほら、これ自分でやってください。お風呂沸かしてきますから」

「べつにいーよ」

「よくないで、っ……」

腕を引っ張られて唇が触れる。

冷え切った二宮さんの唇が私の唇の温度で融けていくのがわかる。

一度息を吸うように唇が離れて、また重なった。

「んん…っ」

鼻にかかった声が抜ける。

まだしめってる二宮さんの前髪が額にこすってくすぐったい。

「ハッ…、にのみやさ、っん」

気が付いたら背中に壁があって、二宮さんに押さえつけられていて逃げられない。

頭の後ろに私より大きな二宮さんの手が回っていて、離れようとしてもすぐに顔が引き寄せられる。

角度を変えて何度も重なる。

腕を伸ばして、その体を突き飛ばすこともできたけど、すぐ目の前にある気だるげに細められた子犬みたいな茶色い瞳がぬれていて、その目に見つめられるとどうしても腕が動かなかった。

ずるずると、しゃがみ込んだ私の肩をつかんだ二宮さんに固いフローリングに押し倒される。

「にのみやさん、どうしたの？」

「……いーから、今は黙ってろ」

本当に黙らせるつもりのようで、すぐにまた唇が重なってしまった。

問い返せないまま、彼のぬれた服に触れて私の服もぬれていく。

二宮さんの髪から滴る雫が頬を伝って私の顔に落ちてきて、まるで泣いているみたいだなと思った。

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