Prologue ページ1
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月明りが眩しくて、目が覚める。
あれ……いない？
隣にあったはずのぬくもりがなくて、ちょっと寒い。
「にのみやさん……？」
「ん？起きたの？」
いつだって優しいあなたの声。
頭をなでられてまた眠くなる。
「まだ朝は来ないから、寝ときな」
「……うん」
「ふふ」
唇が降ってきて重なる。
薄くて、だけど甘い。
あなたの唇はいつも温かくて、なんだか泣きそうになる。
闇の中でもがくみたいに息苦しくても、あなたの唇に触れると息苦しさがほどけていくみたいで。
あなたとのキスは、好き。
「ねぇ、二宮さん」
「どした、今日は良くしゃべるな」
「わたしこわいよ……。にのみやさんがいないと、生きていけなくなりそうで……こわい」
隣に温もりが戻ってくる。
ベッドにもぐりこんだあなたが布団を引き上げてすっぽりと闇に包まれる。
素肌のまま抱きしめられて、その冷たさにピクリと肩が跳ねる。
手のひらが頬に添えられたのが分かった。
ちゅっ…と、またキスが一つ。
「いいじゃん……はやく俺なしじゃ生きられないようになればいいよ」
暗闇の中で、低くあなたが囁いた。
角度を変えて、また唇が重なる。
「それはいや……こわいから」
「フッ…わがままなお姫様だな」
それきり会話は途切れて、代わりに肌が触れ合う。
まだ朝が来ませんように。
祈りながらあなたに触れる。
そしていつしかまどろみの中で眠りにつく。
あなたのそばで眠るときが一番よく眠れる。
目が覚めた時、あなたは昨日と同じ顔で微笑んで、私の額にキスを落とす。
「おはよう、お姫様」
甘く、
沈んで、
溶けていく。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年7月19日 17時
