甘く、沈む。《ars/k.n,s.s》 (ページ44)

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家賃の無駄ページ44

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翌月曜日。

おまえは大事を取ってしばらく休め、なんて言われて、気が付いた時には二宮さん一人が会社に行ってしまった。

確かに足はまだ痛いし肩も痛いけど、仕事ってそんなに簡単に休んでいいものだっけなんて考えながらも二宮さんに押し切られて朝ご飯の食器を洗っている私は完全に二宮さんの家に居候している。

一度だけ洋服やらなんやら必要なものを取りに戻ったきり自宅に帰ってないのでこれは二宮さんが言うところの「家賃の無駄」だ、完全に。

せめて買い物くらい行っておくよと申し出てみたけど「当然のごとく却下だ」と言われて終わってしまった。

結局一歩も外に出ないまま私の日々が過ぎている。

本当に今年の梅雨は雨がよく降って、連日窓の向こうには灰色の雲に占拠された街が広がっていた。

その日はずいぶん久しぶりの晴れの日だった。

洗濯物は今日干しましょうって天気予報のお姉さんが言ってるのを聞きながら私は二宮さんに抗議する。

「もう大丈夫ですから、仕事行きます」

「ダメだ」

「なんでですか！もう平気ですよ、よほどの負荷かけなければデスクワークくらいできます」

「ダメだっつってんだろ……はあ」

さっきからこれの繰り返し。

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