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第3話 「誤り、謝り」 ページ4

三「優しくて、良い人でしたよ。いち兄の作ったおにぎり、美味しいって喜んでました」

一「そうか。良かった」

三郎の表情から見て安心したのだろう。一郎は笑みを深める。

一「豪華なもてなしこそ出来ないが、三郎も俺や二郎のことは気にしないで、友達を連れて来てくれ。歓迎するからな!」

三「あ……はい」


ありがとうございます。


その言葉の中に含まれたものは、喜びとは真逆の感情だった。

__ごめんなさい、いち兄。


★★★


独「誠に申し訳ございませんでした!」

課「あのね独歩君、何時になったらミスが無くなるのかな君は」

なんて冷たい目なんだろう。その威圧に耐え切れず、視線を落とす。

独「っ、すいま」

課「自分の体を整えるのは社会人として基本中の基本。君のミスがどれだけ社員の足を引っ張るか、そろそろ理解して欲しいものだね」

バ ン ッ ッ

独「あ……」

時間を掛けて作成した書類は、実に呆気なく机に撒かれた。それを手繰り寄せるようにかき集め、胸に抱き寄せる。

独「すいません、直ぐに打ち直しますので……」


__それからの記憶は定かでは無い。


気付けば最寄り駅に着いていた。我ながら帰巣本能というものは凄いと思う。

あのハゲ課長の言う通り、このところ体調が優れない日々が続いている。だからと言って休暇をくれるような職場じゃないのだが。

独「まあ、休暇を貰ったところで、俺のこの体調が治ることはないだろうな」

寧ろ職場に居た方が気が紛れて良いな、と自分の思考に笑ってしまう。

それ程までに精神はボロボロだった。



独「またか……」

赤封筒に入った奇抜で特徴的な封筒。その中身の紙には、こう記されていた。


『今すぐその家から出て行け』


独「……にが」

折角の冷えたビールがこんなにも味気ないなんて。鼻先がつんとして、それが余計に気持ちを虚しくさせていく。

独「これも全部俺のせい、ってな」


☆☆☆


一室で、キーボードを叩く大人。

?「…………」

足元には封筒が散らばっていた。しかも、そのどれもが赤なのである。暗い部屋に無数にあるそれは不気味な存在感を放つ。

『出てけ出てけ出てけ出てけでてけでttt』

ガリッ

既に形が歪んだ爪を更に噛む。パソコンに向けるその目は、真夜中だと言うのにギラギラと鋭い。


?「一二三に近づくな」


写真にペン先が振りかざされる。


★★★


満月を見つめる少年。





僕「次は、ヨコハマか」


夜はまだ永い__。

第4話 「番犬と月」→←第2話 「見えない傷」



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もちごめ(プロフ) - ハァッッッッッ!!めっちゃ好きです速く推しの麻天狼が出て欲しい...((願望 ←因みに推しは夢野幻太郎と独歩...((ボソッ 更新頑張ってください!! (2019年1月26日 14時) (レス) id: a221333f8f (このIDを非表示/違反報告)
サイカ(プロフ) - 初コメです!楽しんで読ませていただきました!とても面白かったです。これからも更新頑張ってください! (2019年1月24日 2時) (レス) id: f0e2e83b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水葵 | 作成日時:2019年1月23日 19時

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