BH34 ページ35
＊
K急の国際ターミナルに着くと
コロコロとキャスターを引きながら
エレベーターに乗り込む人達に紛れて
帽子をさらに深く被り直すベク君…
でも……私との握った手は見えないところで
ずっと離さないでいてくれた
エレベーターが止まって…
…降りる人達に続くように前に出たら
ベク君にグッと手を引っ張られて
エレベーターは
私達を中に残して閉った
『ベク君…？「もうここから先は人が沢山いて無理だから……」
エレベーターに残った私とベク君
BH「サランへ…A大好きだよ」
エレベーターが下に降りるまで
10秒余りしかない2人きりの空間で
ベク君からのkissはふわっと優しかった
帽子の奥の瞳が私を好きだよって
言ってくれてた
溢れそうな想いと涙をグッと溜め込んだ
そんな目をしないでA……
出発フロアに着いたけど
降りて行く人達を待ってから
Aを引き止めて
Closeのボタンを押す
BH「…サランヘA ダイスキダヨ」
Aに暫くお別れの…kissをした
足りない……これじゃ全然足りない
エレベーターはあっという間に
地下へ降りて行く
俺たちは少しバツが悪そうに
目配せしながら…
新しく乗ってきた人達は降りないの？って
不思議そう
もう一度上がっていったエレベーターは
出発ロビーの階で大きく扉を開いた
名残惜しい箱の中……
BH「降りるよ？」
『ん……///』
このフロアの空気……重くて辛くなる
数日前に着いた到着ロビーの幸せ感とは
大違いじゃん…
ベク君と同じ便に乗りそうな人達が
目立ってきた
D航空とA航空に搭乗する人達には
気をつけないと……いけない
BH「ごめん……手、離すね、A」
1本ずつ離れて行く指……
深いため息を吐いてベク君が前を歩いて行った
・
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作者名：ちぇんのらん
| 作成日時：2016年9月29日 9時
