眼帯少女は色んな意味で狙われています。８【安室透/赤井秀一】

Chap.321 ページ10

ジ「ただのお話、そう言ったはずだ。
何をそんなに警戒することがある？」

『いえ、何も。
緊張しているだけです。』

そうしてまた私は目を逸らした。

一つ一つの些細な言動を見られている。

そう思うと、自分がいつもどのように
体を動かしているのか分からなくなる。

普通に、いつも通りに、自然に。
意識すれば意識するほど、ぎこちなくなる。

ジ「ユウ、こいつのカクテルはもう作ったのか？」

ジンがキッチンにいるオーナーに尋ねた。
ユウって確か、オーナーの名前。

でも、オーナーは本名じゃないと
言っていたけれど、もしかして
組織にいた時の名前…？

いやでも、そうだとしたら
お酒の名前になるはずだ。

オ「…ああ。」

ジ「じゃあ、それを出せ。こいつの分もな。」

『え、大丈夫です！いらないです…！』

すぐに断ったが、キッチンからは
グラスを取り出す音が聞こえる。

ジ「ただ淡々と喋るより
何か飲みながらの方が話しやすいだろ？」

口を軽くさせるためになのか
それともただの気遣いなのか。

きっと後者はありえないけれど。

私は何も言えずに、また黙り込む。

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