眼帯少女は色んな意味で狙われています。４【安室透/赤井秀一】

Chap.170 ページ36

安「あの。」

車内での沈黙を破ったのは
安室さんだった。

『なんでしょうか…。』

さっき、あんなことを
言われたせいで


同じ空間にいるのが、少し恥ずかしい…。

安「僕も、Aと呼んでもいいですか？」

『え？』

予想外の話題で
今まで見れなかった安室さんの

横顔を思わず見てしまった。

安「僕の方が、あなたと一緒にいる
時間が長いのに。

冲矢さんだけ、呼び捨てなんて
ずるいです。」

安室さんは少しムスッと
不機嫌そうな顔で言った。

『え、と。もちろん。
いいですよ？』

安「本当ですか！？嬉しいです。」

名前のことだけで、
こんなリアクションができるなんて。

この人、本当に29歳か。

『でも、さっき、私のこと呼び捨てに
してませんでした…？』

安「僕を意識させる、手っ取り早い
方法かなと思ったんです。」

『ああ…そうですね。』

薄々、そんな理由だろうなとは
思ってたけど予想が的中したらしたで

なんか複雑…。

安「改めて、A。
これからも、よろしくお願いしますね。」

『はい、こちらこそ宜しくお願いします。
安室さん。』

ニコリと微笑む安室さんに、
私も同じような笑みを作って言った。

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