Ｌｏｓｅ ｏｎｅ’ｓ ｍｅｍｏｒｙ ページ40
「おい笠原。」
５日がたった日のことだった。
無表情の手塚が郁に言う。
「.....何ー？」
「Aが目を覚ましたって。」
「え！？ウソ！」
「ウソつくか！教官たちもう待ってるからな。」
あまりの嬉しさにやっていた図書館の復旧作業はそっちのけで飛び出していった。
ここの病院はなかなか大きくて綺麗な施設だ。
Aの病室は人気のない階の個室。
結構な怪我をしているので調度いいだろう。
コンコン
ノックをしてドアを開ける。
ガラッ
病室の奥に目を移すと、ボーッとしているAが目に入る。
郁たちを見つめる視線は冷たく、精気がない。
「.....誰...ですか..........？」
「え.....？」
何を言ってるの？
誰に向かって言ってるの？
『誰ですか？』
Aはそう言った。
「酷い記憶喪失です。」
医師の言葉が信じられなかった。
「嘘だろ...。」
動揺して堂上の声は震えていた。
「A？わかんないの？郁だよ？」
「A.......。私の、名前でしたっけ？」
敬語で話すところが記憶喪失だと物語っていた。
Aは教官にもタメ口だったはず。
「すいません...。皆さんのことも、自分のことさえも何もわからないんです。」
「嘘.....。」
気の抜けた声。
ボーッとした瞳。
堅苦しい敬語。
そんなに酷かったんだ.....。
「ごめんね.....。A...。」
あの時、棚が倒れてきた時、あたしは見ているだけだった。堂上教官の影が隣を通りすぎた時、やっと何が起きて自分が何をすべきかわかった。
自分の前を走っていく堂上教官は、棚が倒れる寸前だった。
結局堂上教官は間に合わなくて、今もその事をすごく気にしている。
でも...あたしだったら？
堂上教官より脚が早いあたしだったら、状況は変わっていたかもしれない。
「ごめん、ごめんね。A.....！」
「...泣かないでください。なんであなたが謝ってるんですか？」
やめて。
敬語使わないで。
辛そうな顔で見ないで。
いつもの笑顔を見せてよ。
知らない人に、ならないで。
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Ｌｏｓｅ ｏｎｅ’ｓ ｍｅｍｏｒｙ
【 失 っ た 記 憶 】
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いずみん(プロフ) - カモミールティーさん» ありがとうございます^^頑張ります！！ (2015年3月3日 21時) (
レス) id: 330b963b03 (このIDを非表示/違反報告)
カモミールティー(プロフ) - おぉ〜かっこいい堂上教官やばいッ！頑張ってください＾＾ (2015年2月28日 18時) (レス) id: 10f04cca59 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 泉月さん» わゎ！！ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです！！ (2015年2月22日 15時) (レス) id: 330b963b03 (このIDを非表示/違反報告)
泉月 - めっちゃ面白いです (2015年2月22日 15時) (レス) id: 7ba82b4767 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 堂上ＩＯＶＥさん» 本当に堂上教官カッコいい！！名前にしちゃうほど大好きなんですね^^コメントありがとうございます！ (2015年2月11日 19時) (レス) id: fe04c1f201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ａｉ | 作成日時：2015年1月15日 21時
