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「席移動しよーぜ〜」
俺はもっと二人で話していたいのに移動しようという流れになってしまった。俺が(名字)さんと話せるの、たったこれだけ?
「え〜…席移動早いよぉ〜」
(名字)さんは「ね〜?」と言いながら俺に笑いかけてくれた。移動するのが嫌やと思っているのは俺だけやなかった。すごく嬉しい。もっと俺といたいっていう意味やったらええなあと思いながら。
「やんなー!!?ほんまダルいよなー?」
「ダルいよ〜」
移動している人を見て二人で顔を見合わせて笑った。飲み会が始まってからずっと絶えずにこにこしててすごく好き。俺の話にも全部笑ってくれる。俺のしょうもない話も「意味わからん〜」って言いながら。
好きやなーそういうの。
「もうここにおってええよな〜?」
「うんうん!ここにいよ〜」
二人して立ち上がったものの、結局さっきと変わらず同じ席に座った。
やったー!まだ話せる!!まだ一緒におれるぞ!!!
「やったー、まだ話せるね〜」
そう言って(名字)さんはゴクッとビールを飲み、「おいしー」と笑う。
こんなこと言われて意識せん男、おるわけないて…
「俺もおんなじこと今考えとった!!」
「ほんと〜?」
「何で嘘つくねん!!ほんまやって!」
またクスクス笑ってくれた。
(名字)さんと一緒におるの、楽しいな。
◆
もう解散という呼び掛けがあり、次々と人が部屋の外に出て行く。俺は結局最後まで(名字)さんと一緒にいた。連絡先もなんとか自然な流れで交換することができて満足しかない。
横を見ると飲みすぎてふわふわしてる(名字)さん。他の人によると、お酒はあまり強くないらしい。絶対本当はこういう性格じゃないことだけは分かる。
「(名字)さんもう行くで!!」
「ん〜、待ってよー!」
俺が立ち上がろうとするとそれを邪魔するようにスーツの裾をチョコッと掴まれた。そしてコップに残った水を口に流し込んだ。
こんなの可愛すぎるって…
俺は余裕のない自分を隠しながら(名字)さんのことを待った。心臓がドク、ドク、と刻んでいく。
「もー、はよしてーやぁ〜!」
「ごめん〜!はい、行こ!」
(名字)さんはまた俺に可愛らしい笑顔を見せて、俺のスーツの裾を離した。
「ほらもうだれもおらんやんけ〜」
「ほんとだ!」と言いながら俺の横を歩く(名字)さん。あー、可愛い。
今日の飲み会は大成功と言っていいだろう。
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次会う日から全力で(名字)さんのこと落とすから…覚悟しといてな?
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ちか_chika(プロフ) - 私、お、おう強気だね?ってなったw (2021年4月25日 17時) (レス) id: a3ed2858fd (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - メンヘラ配信のやつですか?wwww笑っちゃいましたねwwwwごめんなさい!!! (2021年3月6日 13時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
李猫(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください。応援してます!! (2021年2月28日 21時) (レス) id: 893699292a (このIDを非表示/違反報告)
ゆなこ - 乃々夏さん» ご指摘ありがとうございます!笑笑 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 388f2106fd (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - 「0」が一個足りてないですよwwww100,000hit です!!! (2021年2月23日 10時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆなこ | 作成日時:2020年6月25日 20時