ひざまくら！ =山本武= ページ15
「はぁぁー……、Aの太もも柔らかけー…」
そう言いながら、彼は気持ち良さそうに吐息を漏らした。
「癒されるー！部活で疲れた体に染みるー！」
「ちょっ……、うるさいなぁっ。温泉に浸かったジジイみたいな感想いらないから！」
私は、膝枕を要求した彼の額をパシっと叩いた。
いてっと、顔をくしゃっとして笑う彼。
その彼、山本武は私の恋人である。爽やかで陽気、それととても優しい大好きな人。
「あのさぁ、膝枕なんていうヘンタイな要求に付き合ってあげてるんだから、おとなしくしてくれる？」
そんな彼とは正反対に、私は爽やかでも陽気でも優しくもない。
本当は『部活お疲れさま』って、そう言ってあげたいのに……。
「ハハハっ、わりぃ」
山本はニパっと明るく笑った。
「でも俺は膝枕好きだからさ！」
「膝枕は足が痺れるから、私は嫌いなの！」
「んじゃぁ、やめとこっか」
ひょいっと、彼が起き上がる。
私は慌てて彼の頭を掴んで、自分の膝に押し付けた。あまり乱暴にならないように気を付けながら。
彼はキョトンとしている。
「A？」
「き、嫌いっだけど……部活で疲れてるんだったら……してて…いい」
「おっ。ラッキー！」
彼が私の膝の上でもぞもぞと動いて、私の方を向いた。
「A、サンキューな！」
「……別にっ」
私は照れてニヤけそうになる顔を頬の筋肉だけでどうにかしようと我慢した。
彼が笑うと恥ずかしくなる。それから、愛しさが溢れだす。
溢れだして……止まらない。
「……山本」
彼の名を呼んだ。その頬をさらりと撫でて、その顔に自分の顔を近付けようとして……やめた。
「……A？」
「あ……な、なによ」
「顔近付けてどーしたー？」
顔近付けて、キ……キスしようとしました。
なんて、言えない。
「あ…あの…し、しようと……したんだけどっ」
「うん？」
「体勢悪くて出来なくて……っ」
「ん？…………あぁ」
彼はなにか勘づいたような顔をして、むくりと体を起こした。
そうして私の顎を持ち上げて、唇を重ね合わせる。
「……ん」
キスはすぐに離れた。名残惜しくなって、彼を見据えるとクスリと笑われてしまった。
「まだ欲しい？」
「は！？べっ……別に…！」
「俺は欲しいな。して、A」
嗚呼。起き上がった彼の体勢が憎い。
恥ずかしい。恥ずかしいのに、キス出来てしまうから。
私は目を閉じた。
そうして。
=end=
リクエスト受付(こちらをよく読んでからしてください)→←あたしとあなた =獄寺隼人=
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅うさぎ(プロフ) - ハルカさん» 返信重複してすみません！別に短編がありますので、そちらに返信をください (2016年12月18日 0時) (
レス) id: 3b29655bc4 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - 壁ドンをお願いします (2016年12月17日 10時) (レス) id: 1d0901340a (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - リクエストです。ジョットと、シモンのボスと、ツナ炎真お願いします(*^_^*) (2016年12月17日 9時) (レス) id: 1d0901340a (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 獄寺君にベタ惚れです☆さん» 出来ました。URLで飛んでいただけたら幸いです (2016年2月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 獄寺君にベタ惚れです☆さん» ありがとうございます！大丈夫ですよー、頑張ります！ (2016年2月7日 13時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅うさぎ
| 作成日時：2015年9月14日 10時
