白い悪魔の[2] =白蘭= ページ12
「つまり、貴方は主観的に交友関係を築けないと。喧嘩しても、何も感じない」
「そうそう。そんな感じ！」
「それは可哀想に」
私は思ったままのことを言った。
しかし、それがダメだった。
「……可哀想？」
彼はそう聞き返した。いつもの笑みが消え失せる。
可哀想と言う言葉は、地雷だったのだろうか。
「僕が可哀想？」
「ただの私見だ。気を害したのなら、謝る」
「……いいや。そうじゃないんだよ。言われたのが……二度目、だったから」
「二度目？」
「正確には、僕が聞くのは一回目。だけど、別の世界の僕がそう言われたんだ。だから、僕は尋ねた。『どうしてそう思うの』って」
「……」
「そしたら、こう言われた。『何処にいてもなにをしても、永遠に孤独だから』って」
彼は私に背を向けて、鉄格子にもたれ掛かった。白い髪が、黒い格子からはみ出る。
「そう言われて、気付いたんだ。孤独というものは、森の中にない。街の中にこそあるんだって」
「……街？」
「うん。誰かといるからこそ、孤独だと感じるのかなぁって…」
共感してはならない。罪人の言葉は言葉にあらず。耳を傾けるな。
「でも、そう思ったと同時にね、その子のこと、すっごく好きになったんだ。その子だけだったから。何があっても笑い続ける僕に、そう言ったのは」
「……なんだ、恋話か」
「えへへ。まぁね」
「その女が居たのに、そのパラレルのお前は世界を滅ぼしたのか？」
「その世界に価値がなくなったのさ。……その彼女が死んだから」
「…………」
……これだから、罪人の話は嫌いだ。大抵、悲しい結末がある。
私は黙り込むことにした。もう、聞きたくなかったから。しかし、それは長く続かない。
「……A」
と、彼が私の名を呼んだから。教えていないはずなのに。
「！？」
「キミがまたそう言ってくれて、嬉しいんだよ？ね、A。あっちの世界で言えなかったことがあるんだ。僕は、キミが…」
ガシャンッ！！
彼が手を伸ばしたせいで、手枷の鎖が格子に搗ち合った。
それを見て、彼は寂しそうな顔で笑った。
「あぁ、また。……また、届かないや」
「…なにを言おうと…っ」
「……仕事熱心なのも、大概にしたほうが良いって話さ」
彼はへらりと笑う。その瞳に匂う、孤独の香り。
「で、早く幸せな家庭を築きなよ。折角、世界が平和になったんだからさ」
それは、
「幸せになってね」
白い悪魔の、永遠の孤独。
=end=
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅うさぎ(プロフ) - ハルカさん» 返信重複してすみません！別に短編がありますので、そちらに返信をください (2016年12月18日 0時) (
レス) id: 3b29655bc4 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - 壁ドンをお願いします (2016年12月17日 10時) (レス) id: 1d0901340a (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - リクエストです。ジョットと、シモンのボスと、ツナ炎真お願いします(*^_^*) (2016年12月17日 9時) (レス) id: 1d0901340a (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 獄寺君にベタ惚れです☆さん» 出来ました。URLで飛んでいただけたら幸いです (2016年2月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 獄寺君にベタ惚れです☆さん» ありがとうございます！大丈夫ですよー、頑張ります！ (2016年2月7日 13時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅うさぎ
| 作成日時：2015年9月14日 10時
