モブに名前なんて無い【烏野高校】

Leading role ＝ ０２ ％ ページ3

【 ▽ Side . 菅原 】














「…やっべー…‥」







完全に遅刻だ。






借りた本を
返してからでも
部活に間に合うだろう。と、

図書室に行った自分に
廊下を走りながら後悔をした




確かに本を返すだけなら
余裕で間に合っていただろう。




だが、人生とは

いつだって思った通りにはならなくて。




図書室で先生に捕まってしまったのだ








( ……こんなことになるなら、図書室に行くって伝えておけば良かったな )









なんて、今さら
思ったところでしょうがない






内心 ハァとため息をつき


廊下の角を曲がったーー直後、





”長い髪と長いスカート”



一瞬だけ視界に捉えた人物。



その近すぎる距離に
しまった…！と
思った時にはもう遅くて。








ドンッ！！








「いっ…つ」




「っ……」









ぶつかってしまった









「ご、ごめん！だ、大丈夫か…？」









その衝撃で
尻餅をついてしまった
目の前の女子生徒。




慌てて謝罪と共に
手のひらを差し出すと

俯いていた顔が上を向く









「………大丈夫、です」









長い前髪から
一瞬だけ覗いた綺麗な瞳。




手を差し出す俺に構わず
一人で立ち上がり

綺麗に一礼してから
スタスタと歩いて行く姿に



言葉を失っていた俺は

遠ざかって行く背中を
ただ見つめていた

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