【短編集】この手を取るのは、【ブラクロ】

フィンラル短編「戦場で、また」01(リクエスト作品) ページ17

ダイヤモンド王国で大軍の先頭に立つAは魔導書を開き、魔法を展開させる。Aの魔法は希少といわれる空間魔法の使い手で、しかもこの大軍を一気に運ぶことが出来るほど魔力が多いのだ。
　ダイヤモンド王国に重宝されているが、Aはダイヤモンド王国に忠誠は持ち合わせていなかった。ただ侵略国家というだけでダイヤモンド王国にいるのである。


「さぁ、敵さんのところまで！ 今日の敵さんはかっこいい人いるかなぁ」


　そう、Aはかなりの面食いで、しかも味方のイケメンには一切興味なしの敵にしか興味を抱かない少々厄介な性格の持ち主であった。
　Aの見た目はかなりの可愛らしいのに、味方には女性と思われてないのはその性格の所為だったりする。

　空間魔法で来たのはクローバー王国との国境の近く。「あ〜疲れた」と自身の肩をポンポンと叩いているが、口角は楽しげに笑っている。


「おっ、敵さんのお出ましだ〜」


　異変に気付いたクローバー王国の魔法騎士が現れる。しかもAと同じ空間魔法でだ。
　久しぶりに高鳴る胸を抑えきれずに空間魔法を使ったクローバー王国の魔法騎士を見る。黒のローブを羽織っているみたいだ。


「ああ〜なんか聞いたことあるかも……黒の暴牛っていう団だったよね。確か名前はフィンラル・ルーラケイス」


　敵である国のことに詳しいのは、イケメンな敵が大好きなAだからこそだ。常に顔がかっこよかったなどの情報を集めている。フィンラルもその一人であり、同じ空間魔法を使うことで気にはなっていた人物だ。それに今、Aは初めて顔を見たがかなり好みだということが分かった。


「うん。じゃあ、私はちょっと行って来るね。でも、私が戻って来るか、別の場所に移動するまでは仕掛けたらダメだからね〜」


　空間魔法を使い、フィンラルの近くへと行こうとする。ダイヤモンド王国の人達は「またコイツは」みたいな表情をしているが、Aにはそんなこと一切気にしない。

フィンラル短編「戦場で、また」02(リクエスト作品)→←アスタ&レオポルド短編「プロポーズは大人になってからで」(リクエスト作品)

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