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それから、めそめそ泣きながら歩いているところで小瀧さんに見つかった。
まるで、地球外生命体を見るような眼差しで「なに泣いてん」と煙たがる。
「 大毅くんが〜、 」
『 触るな 』
「 彼女…っ、! 」
『 触れんな 』
わたしは、震える手でピアスをとった。
大毅くんに振り向いてもらえないなら、意味なかったじゃん。
考えれば考えるほど、自分が情けなくて悔しくて、
それなのに脳裏からあのふたりの後ろ姿が離れない。
…彼女さんがいるんだったら、期待させないでよ。
「 大毅くんのばかあっ…、 」
『 泣くな、きったねぇから 』
あんな素敵な笑顔は、わたしだけのものと思っていた笑顔は、
彼女さんのものになったんだね。
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そろそろ夕日が暮れる頃。
『 まだ泣いてたんか 』
「 …ぐすっ、 」
小瀧さんはそう言うけど、結局は隣にいてくれる。
てか、大毅くんは「俺非リアやからな」とか言うてたもん!
彼女は三十路前からかなってから言うてたもん!
「 …ごめんなさい、小瀧さんっ。
これ、なんも意味なかったですね 」
ピアスホールを指でなぞれば、あの日の感覚が甦る。
彼との未来が楽しみになって、ウキウキして。
昨日のまま、片想いをずっと繰り返していたのなら、毎日はきっとずっともっと楽しかった。
『 …別に、ええと思うけど 』
「 なにがですか? 」
『 そのピアス 』
慰めてくれてるのか、わたしがきつく握りしめてる小さな石を指差した。
反射的にそのピアスにまた目をやれば、大毅くんを思い出して。
胸が苦しくなって、また視界が歪んで。
瞬きすればさらに霞んで、雫となって溢れた。
ピアスの上にポタポタと落ちる涙。
『 …いい加減もう泣くなって 』
「 泣いてないですっ、 」
『 ちっ 』
小さい子が言うこと聞かないでわんわん泣いてると、むしゃくしゃしてくるその気持ち、本当に分かるんです。
小瀧さんは今、そういう感じですよね。
『 失恋したぐらいで 』
「 小瀧さんは失恋とかしたことないからわからへんのアホ! 」
『 もう、ほんま 』
呆れた顔した小瀧さんは、わたしの瞳に手を伸ばした。
『 あかん擦んな、腫れるから 』
なんでかは分からないけれど、どうしようもなく心が落ち着いて、また涙が溢れでた。
『 ぶっさ 』
口では冷たい言葉をわたしにぶつけながら、
顔は怠そうに嫌な顔をしながら、
その指はいつまでも優しくわたしの頬に触れていた。
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雫(プロフ) - ジャニオタ卒業しても唯一外さずにいる大好きな作品で久しぶりに読んだらやっぱりキュンキュンしました( ; ; ) (2021年8月27日 20時) (レス) id: 6da38b2df1 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - 凪さん» ありがとうございます!!未だに読んでくださってる方がいて嬉しいです〜!! (2019年2月23日 8時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - わわ最高すぎ、占ツクでいっちゃん好き。 (2019年2月22日 20時) (レス) id: 161c01295f (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - さやねちゃさん» ありがとうございます!!!! (2019年1月26日 17時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
さやねちゃ(プロフ) - やべ、最高すぎる! (2019年1月26日 16時) (レス) id: c5dd84cbdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楓花 | 作成日時:2018年3月8日 22時