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そう言うやいなや、アメリカ君があーの耳を大きな手で塞ぎ、僕を下から覗きこむように睨めつけた。

「あーにあんなことしておいて、なにも覚えてないあーとくっつくなんて、虫が良すぎるんだぞ!
 そりゃ、俺はあーに幸せになってほしいから何もしないけど…!

 〜〜ッ、だけど俺は納得できないよ!今度君があーを泣かせたら、その時は…!!」

 声を詰まらせたアメリカ君が悔しそうに顔を背け、そして弾けたように廊下へと駆けていった。

 その怒気に呆けていると、今度はイギリス君があーの耳を塞ぎ、呆れたような複雑な顔をした。

「…まあ正直俺も、お前は一回アスチルベに嫌われるべきだと思ってるんだけどな」
「…うん。嫌だ」
「誰もお前の意見は聞いてねーよ」

 そして手をパッと離し、最後に一言こう告げた。

「ま、幸せにしてやれ」
「…分かった」

 イギリス君が僕の答えを聞き、「どーだか」と鼻を鳴らしてあーの頭を撫でる。

「たまには遊びにこいよ。アメリカ、あれでも寂しがってんだ」
「…?うん、ロシアと行く」
「やめてやれ」
「?」

 首をこてんとするあーをもう一度撫で、「じゃあな」とイギリス君も去る。
 ほとんど誰もいなくなった会議室で、僕は大きなため息をついた。

「…嫌なこと言われた?」

 そんな僕をあーが心配そうに見上げる。嫌なこと…?嫌なことというか、言われたくないこと?
 微妙な顔をして答えない僕に、あーがふにゃりと笑いかける。

「嫌われたくない?」
「えっ」
「…嫌いにならない。安心して」

 そこまで言われて、ああそうか、伝わったかと気づく。やれやれ、この機能も困りものだ。これ以上関係が深くなったらどうなってしまうのか。

「ありがとう。…うん、嘘じゃないね」
「ロシアに嘘つく必要ない」

 心の底から言ってくれてるのが分かるのは嬉しいけどね。

「…あー」
「?」
「君のこと幸せにできるように頑張るからね」
「…うん。私もロシアのこと、幸せにする」

 君とこうして笑いあえるだけで僕は幸せなんだけど。そう思った途端、あーからも同じ気持ちが伝わってきて、僕らは思わず吹き出した。

 …君を不幸にした倍、君を幸せにしてみせる。
 君を大事に想っている国達に誓って。

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針之助(プロフ) - すごく!すごく面白いです! (2021年2月22日 21時) (レス) id: 245526c355 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天星雨音β | 作成日時:2016年9月23日 4時

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