31話 約束 ページ36
莇side
追いかけたのはいいけどどうやってドアを開けさせるか…
莇「おい、日向って言ったか？なんで逃げんだよ。」
日向「逃げてないし、ただ部屋に戻っただけなんだけど。君こそ僕追いかけてくるとかなんなの？」
莇「…さっきの事はなしにして少しでいいから俺に日向の事教えくれよ。」
日向「なんで君に僕の事教えないとなのさ嫌だ。」
莇「じゃあ約束しようぜ。」
日向「約束？」
莇「俺が日向に化粧するって約束。」
日向「は？君バカなの？男が化粧とか…」
莇「だよな…分かってるよ。親にも散々言われたよ。お前は俺の後継げばいいってな…でもよ、好きなことってやめられねーんだわ。」
日向「それ俺に言ってなんになんだよ」
莇「わかんねー。けど、話さなきゃって思った。」
少しの沈黙のあと日向は話出した。
日向「…思い出した。俺、姉さんと約束してたんだ。姉さんが主役の舞台見るって。けど、俺がその約束を破ったんだ…
姉さんは中1の時に喉に違和感を覚え始めたんだ…最初は少し違和感があるだけで気にはならなかったらしい。
けど中2に上がってからだんだん声が出にくくなっていったんだ…」
莇「…それで。」
日向「…俺はそんな姉さんの声に恐怖を覚えた。聞く度に声が掠れていくんだ。あんなに綺麗だった人の声が…
ある日姉さんが言ってた。
私の声は呪われてるって。俺はそんな事ないってすぐ言ったよ…けど、もう手遅れで。姉さんは本当に呪われたように練習をし始めたんだ。
俺はそれ見て思ったよ。姉さんが壊れたって。でも、父さんも母さんも誰も止めなかった。
俺は父さんと母さんが許せなかったよ…だって、姉さんを止めていたら姉さんはあんなにはならなかったんだから…。
でも、俺も止めたのはたった何日かだったけどね。
毎日毎日隣の部屋であの掠れた声が聞こえてくるんだ。もう勘弁してくれって思ったよ。だから、俺は姉さんに言ったんだ。
もう、黙ってって。」
莇「……俺も大好きだった人と約束してたんだ。けど、裏切られたよ。アイツだけ夢叶えやがったんだ。でもな、俺はアイツを恨めなかったよ。怒りはしたけどな。だから、お前の姉ちゃんもお前の事恨んでないだろ。」
日向「違う！！俺が…俺が姉さんを！！？」
ﾄﾞﾝｯ
俺は強くドアを蹴る。
莇「黙れよ…被害者ヅラすんなお前のそれはただのわがままだ。」
続く (更新停止中)
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作者名：ねこ | 作成日時：2018年8月26日 1時
