雨宮兄妹

19.祈り ページ19

雅貴が琥珀と喧嘩をしている間鈍い音が後ろから聞こえた

見てみるとMUGENの下のやつらが血のついた鉄の棒を持っていた。

そこにはおれのバイクから地面に倒れているAがいた。

血は頭から流れていて、顔が青白くなっていって

名前をいくら呼んでも返事はない。

どうしよう どうしよう。

時間だけが過ぎてゆく、

雅貴が病院へ運ぼうと言った

Aを抱き抱えバイクを飛ばした。

集中治療室に入っている間、

俺は思ったMUGENなんかに喧嘩を売らなければ、

Aを連れていかなければ



後悔しかなかった

雅貴が口を開いた
雅『全部 俺のせいだ ごめんな 広斗』

『ちげーよ 雅貴のせいじゃねぇーよ』

雅『俺のせいだよ 俺お兄ちゃんなのに兄貴も見つけられねぇーし、妹を、Aをこんな危ない目に合わせて
俺、Aが死んだらどうしよう』

珍しく弱気だ 雅貴がこんなにも弱気なのは初めてだ。いつもは前向きなのに。

広『死ぬわけねぇーだろあんなに元気だったんだぞ 家を飛び出すくらい元気だったやつが死ぬわけねぇーよ 母さんや父さんはまだ連れていかねぇーよ
きっと』

それから2時間 俺たちは祈り続けた

赤いランプが消えてドアがあいた。
先生が出てきて、

先生『一命はとりとめましたが、脳内にダメージがあり、いつ急変するかわかりません。それから障害が残る可能性もあります』

雅『でも 今は大丈夫なんですよねっ』

先 『はい』

雅『ありがとうございます』

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