誘拐 そらる ページ8
気が付いた時には暗くて息苦しい所にいた。
真っ暗でこの部屋がどこまで続くのかも。
...ここがどこなのかも分からなかった。
自分の体はなににも拘束されてないし。
自由もきく。
でも、回りが見えなくて動けなかった。
動いたらいつもみたいに痛い思いをするかもしれない。
もしものことを考えると動けなかった。
私が確かさっきまで学校から家に帰ろうとしていた筈だった。
それがなんでこんなとこにいるのか分からなかった。
誰かに連れ去られたのだろうか。
そうしか思えなかった。
だって家までまだ相当な距離もあったし。
友達がいないからドッキリなんてこともない。
そうか。
私は今からオソワレルのか。
そう思うと力が抜けて全てがどうでもよくなった。
パチッ
そんな音がした後、部屋に電気が付いた。
落ち着いた部屋のベッドの上に私はいた。
誘拐犯の家なのか。
じゃあ本人はどこに...
そう思って辺りを見回すとうさぎの可愛いお面を被った男が椅子に座っていた。
...ん??
あぁ、変人なのか。
そう思うまで私にしてはずいぶん時間がかかった。
うさぎ「よく眠れた?」
顔の表情が分からない。
「...まぁ」
怖い。
逃げないと。
そういう思いが頭を過った。
うさぎ「良かった...」
そう言って温かいココアを私に手渡してくる。
「...なにか入ってますか?」
睡眠薬とかの類いの薬を入れられている気がした。
うさぎ「は?俺のことそんな目で見てたの?」
ショックだなーなんて言ってうさぎ面を抱えるうさぎ。
でもどう考えてもそうとしか見えない。
うさぎ「誘拐したのは悪かったけど、そんなことするつもりなんてない」
そう言ってうさぎはココアを飲んだ。
「じゃあなんで誘拐したの」
うさぎ「ごめん、Aとお友達になりたくて」
そう言って照れるうさぎ。
...は?
友達になりたいがために誘拐したのか。
こいつなんなんだ。
「なら家に帰らせてくれるの?」
そう言うと「Aがかえりたいなら」って言った。
「じゃあ名前教えてよ、うさぎさん。あと顔も」
そう言うと少し困ったような動作をした。
うさぎ「なんでも言うこと聞くつもりだけど、顔だけは駄目」
そう言った。
きっとうさぎさんは私と同じ。
どこにも居場所なんてないんだね。
「ここに住む。だから名前教えて」
うさぎ「そらる」
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