僕らの英雄的奇譚 (ページ5)

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通形ミリオ宅。

勉強会(という名のゲーム大会)に真剣に取り組みつつ、ちらりと隣に座る環に目をやる。
どことなく眠気を漂わせ、睡魔と戦っているのか時たま、んーと唸り声を発している。

「WINNER、RED CAR!!」
と画面に表示されると同時に、膝へ環の頭が降りてくる。
Aを挟んで、その隣に座るミリオもまたAの肩へ頭を乗せ、先程負けたのが余程悔しいのかぐりぐりと押し付けてくる。

「重い」
「負けたァァァ！！これはもう悔しすぎるよね！」
「ちょ、静かにしろって。環起きちまう」
「なんで環にだけ優しいのさ！！」
「じゃかしいわ」
「Aってば俺にだけ当たり強いよね！！」
「んー...」

「「」」

(静かに。)
(うん、分かってるよね！)
と、目だけで会話を成立させる。どうかそのスキルを現場で披露して欲しい。
なんだかんだいって、面倒見がいいのだ。この2人は。何かと3人が揃えば、途端に長男がA、次男がミリオ、三男が環という奇妙な三兄弟ができあがる。

(いや、末っ子がミリオか...？)

決してそういうことではない。
ツッコミどころはそこではない。決して。

そもそも何故年下が長男なんだ、というみんなの疑問になんの違和感も抱かず、見当違いなことを考え出す荒言。最早芸とも取れる荒言の天然っぷりは、年々拍車をかけている。

そんな弟のように思っている2人から、兄弟愛とは違う、どろどろとした愛情をもたれているなんて。誰が想像できただろうか。
先程の行動も、荒言からのお世話を期待して計画的に行ったものであった。ついでに言うと、下のお世話もしてもらいたい。
相澤先生の前で言えば、1発で死刑を宣告されるであろう邪な考えをもつ2人ではあったが、変な時に息が合うのであった。

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