終。 ページ19
✤
素早く寝室に連れていき、後ろ手に鍵を閉める。静かに避難経路を絶たれた荒言の口元は引き攣る。
「...Aは、分かっていない。」
「な、何が？」
「自身の挙動がどれ程周りに影響を与えているか、分かっていないんだ。」
「え、なんもしてひぃっ！」
ゆっくり荒言を押し倒しつつ、首にあるやや小さめの喉仏を甘噛みする。そしてひと舐め。
「ねぇ、A。
視界の暴力でも、歴とした犯罪行為だ。
当然、俺には正当防衛という名の自衛行為が許される。」
「う、ぅあ、ひっ」
ねぇ、A。
ゆっくりねっとり耳の中を蹂躙する環の舌。
そして、吐息混じりに囁いた。
「俺がAを食べても、当然文句は言えない」
文字通り、俺は“食われる”のだとそう思った。
寧ろこの胸の高まりは、環の色気に当てられたものだという他にもっと意味がある気がして。
(確実に、今の俺は、期待、していた、)
自覚した瞬間に一気に頬が熱くなる。
途端に、疼く身体。身体の奥の奥、子宮が成り損なった部分がきゅうと期待するように震えた気がした。
男、なのに。
「な、にこれ、ぇ」
こんなの知らない。こんなの、こんな、俺は、
あ、あ、
オンナノコに、なっちゃ、
＿ピンポーン！
ピンポーンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン
「...じゃかあしいわｯ！！！！！！」
連続ピンポン魔の正体は、ミリオだった。
目の前には不機嫌そうにココアを啜る環。
ミリオも環同様、USJ事件に巻き込まれた荒言を心配して安否確認の為に訪れていた。
幸か不幸か(環にとっては完全なる不幸だが)、これから始まる2人の時間(意味深長)が邪魔されたことで、今まさに環のテンションは低い。非常に低い。マイク先生とのやり取りを面倒くさがる生徒達のテンションよりも低い。氷点下だ。
ミリオに関しては、どうやらこれから始まる筈だった2人の時間(意味深長)を図らずとも阻止することができたようで安心する。
環だけだなんてたまったもんじゃない。やる時は俺も一緒なんだよね！
荒言に平穏な日々が訪れることはあるのだろうか。
その日は3人でゆったりとした時間を楽しみつつ、時折繰り出される2人からのセクハラ攻撃にも耐え、久しぶりに暖かな夢を見た荒言であった。
♢
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←続。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らーめん | 作成日時：2020年1月19日 15時
