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ヒーロー科、2年A組。
名簿番号1番、荒言 A。
個性【言霊】
ヒーロー名【ラファリィ】
これが俺の肩書きである。
インターン先はファットガム事務所。
幼い頃からよくお世話になっている天喰家の豆腐メンタル男、天喰環とはそれこそ腐れ縁といえる関係だった。インターン先がそこなのも、環に誘われたからである。選ぶのが面倒くさかったという訳ではない。決して。
環は昔から何かと傍に俺を置きたがった。
内気なタイプであるのは分かっていたし、自分が年下であるにも関わらず構ってくれる存在に、俺も俺で少なからず優越感はあったのかもしれない。自ら進んで隣を買って出て、何かあれば助けようといつも手を繋いでいた。
だが、蓋を開ければどうだ。
今となってはただの過保護な兄ができただけだった。(ただの兄弟のような関係だと認識をしているのは少なくとも荒言だけである。)
「A」
入学式を無事終え、午前の課程も全て終え、弁当を広げてその存在を待つ。数十秒後に、控えめに扉ががらりと開く。ちらりと覗いたのは先程話題に上がった環の姿だった。
何度もこの教室には来ているはずなのに、未だに少し慣れていない様子である。俺しかいないからだろうか。確かにこの教室は規格外のでかさだ、無理もない。
荒言は環への扱いが、幼児を相手するそれと似たようなものに変わりつつあることに気づいてはいないようだった。
環も環で、愛しいものを見るかのように目を細め、口元に笑みを浮かべている。いつもの姿からは全くもって想像できないものであった。しかし至って本人らは気にしていない。
兄も兄なら、弟も弟である。
「入学式、1年A組居なかったな。」
「ああ、除籍処分に...」
「過去最速すぎて涙乾く。」
「真顔で言わないでくれ。」
弁当を食べながら、ゆったりとした時間を過ごす。朝の騒々しさからは打って変わって、ここだけ時空が切り取られたようだった。
ふとこちらに視線を投げ、口元についたおかずに気づく環。流れるような動作でそれを取り、そのまま口へ運ぶ。対し、無表情でそれを眺める荒言。
どこぞの少女漫画かよ、しかも男相手にって。可哀想に、女に飢えているのかこの兄(仮)は。
荒言がそう思っているとは露知らず、食事へと戻る。
もう少しで昼休みの終わりを告げるチャイムがなるところであった。
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作者名：らーめん | 作成日時：2020年1月19日 15時
