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「Hello!!」
「おはようございます」
規格外の大きさをもつ1つの教室に、2つの声が響き渡る。とは言っても、それらは非対称的なものだった。
朝からこの喧しい金髪大声男と顔を合わせるのか、と少々げんなりしつつも表情にはあまり出さない。(出すと面倒くさいからだ、無論この金髪大声男のことである。)
しかし今日がどことなく新たなスタートを匂わせる、入学式という特別な意味をもったものであるというだけで、それすらも日常的なBGMから、何かが始まるような＿＿言うなれば、ラスボスを倒す前の最後の村から旅立つ時のような＿＿壮大なものに聞こえた。
「盛り上がっていこうぜリスナー!!
Put your hands up!!
Fooooooooo!!!!」
「チェンジで。」
前言撤回。
普通にうるせぇ。
数秒前までのちょっとポエミーくさい長ったらしいコメントを考えた俺の時間を返せ。そして即刻ここから立ち去れ。朝からこんな頭痛が酷くなるような声を聞かされるこちらの身にもなって欲しい。ついでに言えば地に還って欲しい。俺は低血圧なんだ、黙って静かで優雅な朝を過ごさせろ。
ここはキャバクラじゃないぞとまたもや騒ぎ出す金髪大声男。
こいつ教師じゃなかったか、と疑問に思いつつも眉間に皺を寄せ不快感を顕にする。それが視界に入ったのか尚の事わいのわいの騒ぎ立てまくり、どうにも収集がつかない状態になったところで、軽く目眩がした。
とりあえずこいつ黙れないのか？
俺の新しい1日は、こうして幕を開けたわけだが。柄にもなく少し嬉しいのは本当である。表情筋はあまり動かないが、これでも面白い時は笑うぐらいする。
1年前の今日、今以上にわくわくどきどきしていた俺を待っていたのは、素晴らしい仲間(になる筈であった)同級生が全員除籍処分になるというトラウマ級の悪夢だった。思い出すだけで震えが止まらない。因みに言えば、その時に感情という感情を全て削ぎ落とした。そりゃ、表情筋も死ぬわ。切実に俺のきゃっきゃうふふライフを返して欲しい。
担任は小汚いわかめ男だった。軽く殺意が湧いたが、今ではとっても仲良しだ(錯乱)
(金髪大声男に関しては、あの後本当に喧しかったので、元担任の頼れる相棒(幻覚)、ちょっと小汚いがとっても優しい(洗脳)相澤先生に捕獲してもらった。)
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作者名：らーめん | 作成日時：2020年1月19日 15時
