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Aさんと侑くん、付き合っとるらしいで。
Aさんて誰?
あの、目立たんけど可愛い子おるやん。○組。
ああー!Aちゃんか!
えっ、なに、あんた名,前で呼んでんの?仲いいん?
ううん、喋ったことない。勝手に呼んでる。
なんやそれ。
ていうか、幼馴染やからってあの子調子のってへん?高校にもなってあの距離感おかしいやろ。
それな。キモいわー。
全部聞こえていたがしかし何の反応も示さずにいたら、最初は侑と見分けつかんかったのかそいつらはギョッとしていた。しかしその直後俺が治だと分かったらしい女が科つくって寄ってきた。
なぁ、なんでAが調子のってるって言われてんの?
あぁ、女は女が邪魔なんやな。
「お前キモイわ……」
ボソッと呟いたのが聞こえたのか、女はそそくさと去って行った。
「はぁ……」
「なぁ、現国の教科書持ってへん?」
真っ直ぐ此方へ寄ってきた俺とおんなし顔。
クラスの女が色めき立った。
ウッサイな……。
「………」
席に着いた俺が黙って教科書を机に出すと、ありがとー、とそれをひっ掴みそのまま俺の前の席に腰かけた。
「お前、Aと付き合っとるん?」
俺が机に突っ伏してそう聞くと、侑はフッフと笑い
「まだ。まだやな」
と微笑んでいた。
(……まだ…か)
俺はそのまま目を閉じる。俺の頭をフワフワと撫でていた侑の表情は、見てないし知らん。でも、俺の頭を撫でるその指先が優しくて何でか知らんけど涙が零れそうになった。
「A、マネやってくれんかな?」
侑が呟く。
「平穏な高校生活が欲しいって言っとったし、望み薄いやろな」
「フッフ。さよか、じゃあんがと」
侑はそのまま去って行った。
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作者名:ポロリ | 作成日時:2019年10月30日 11時