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「えぇっ?!Aやないか!!同じ高校やったんや!なんなん?もぉー水くさいやんけー言っといてやぁー!!」
朝のSHRを終え、俺のクラスへスッ飛んで来た侑は、勿論俺に文句を言うつもりだったらしい。しかし、俺の隣に立っとったAに気付き、キャアキャア騒いだ。
Aもニコニコしながら侑を見つめ、俺の胸も騒いだ。
「これから宜しくな!侑!治!楽しくなりそうや!」
Aが俺らに抱き付いて、侑はその小さな頭を自身の胸に押し付けた。
俺は黙っとったけど、侑がチラリと俺を見たのが分かった。
「ていうか、俺のクラス見とったんならAの名,前もあったんも見たやろ」
「女子の名,前なんか見とらん」
「ヒッド!!」
Aがケラケラ笑う。
え?双子?!そっくり!
格好いいね、2人とも。
聞こえないようにするつもりはないらしい、女子の声が聞こえた。
「なんやAも一緒かぁー!楽しいスクールライフになりそうや!」
侑が胸を張り言った。
「あ、部活見学明日からやって!2人共やっぱりバレー部なん?」
「そうやで!Aは?マネしてやぁ」
侑が甘えた声でAに言うが、Aは苦笑いで首を振った。
「いやぁ、バレーはもういいかなぁ。ごめんな」
俺らは思わずAの顔を覗き込み捲し立てた。
「なんでなん?」
「あ、女バレ入部するんか?」
「いやぁプレーはもういいかな。でも、間近でしとるプレーを冷静に見れる自信もないねん」
「……ほうか」
俺は理由を知りたかった。
けど、侑の声を聞いて、聞いたらあかんって思ったんや。
「じゃあ何部にするん?」
「部活?決めとらん」
「ほなマネージャーも候補に入れとってやぁ」
やはり侑は甘えた声で言い、Aも変わらず苦笑いを浮かべていた。
その後、担任がやって来て侑は隣のクラスへ戻ってAも自身の席へ戻って行った。
俺も席へ腰を下ろしたのだが、俺を置き去りに、ポカンと空間が広がっていくような感覚を覚えたのだった。
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作者名:ポロリ | 作成日時:2019年10月30日 11時