千尋という名【千と千尋の神隠し】 (ページ9)

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大丈夫ページ9

『頭(かしら)、そこを退け。』

白龍の体の傷はすごく多く、出血量も酷い。

『ハク、大丈夫か？私だ、Aだ。』

白龍がわずかに目を開く。そしてまた閉じた。

『湯婆婆様はカオナシの様子を見に行った。安心しろ。』

その時、少しだけだが、走るような足音が聞こえた。

千「ハク、A！」

千尋！？何故今来たんだ。諦めて戻ったかと思っていた。

ドスンドスン

坊「坊と遊ばないとないちゃうぞ。」

坊様だ。厄介なのが来たな。

「うるさいね、静かにおし。」

そう言って姿を現したのは、湯婆婆様の双子の姉の、銭婆様だ。

坊「ばぁば。」

『坊様、その方は…』

銭「あんたはちょっと太りすぎだね。」

そうして坊様をネズミに変えた。

次に湯バードをハエドリに、頭を坊様に変えた。

バシンッ

音が聞こえた方を見ると、白龍が銭婆様のものであろう人型の紙を尻尾で破いた。

そうして白龍は千尋と、換気扇につながっている穴に入っていく。

それを追うように私も飛び降り、白龍につかまる。

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やがて釜爺さんのところの換気扇から落た。

『釜爺さん、布団を。それと水も。』

釜「おお、そいつはハクか？」

『はい、白龍になったハクです。』

白龍が暴れているから、釜爺さんの部屋が血で汚れてしまった。

千「ハク、お願い、食べて。」

千尋はハクに苦団子を食べさせようと必死だった。

『千尋、貸して。』

私は苦団子を千尋から受け取り、半分口に入れる。

流石に口に入れたのを返すわけにはいかないから、入れてない方を千尋に返し、入れた方をハクに食わせた。

というか、本当に苦いな。

『白龍、食うんだ。食えば命を食ってるやつを腹から出せる。』

それでも食おうとしない。

『私には、まだ君が必要なんだ。お願いだから食ってくれ。』

白龍の口の筋肉が緩んだ隙に、苦団子を口に入れた。

ハ「グウゥゥ…ガハッ」

白龍の口から出たのは、黒い虫のようなものとハンコだった。

そして白龍はハクに戻る。

あの虫は多分、湯婆婆様がハクを操るために腹に仕込んだ虫だ。

それを千尋が踏み潰す。