Re:sky【遠野日和】 (ページ43)

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Giving* ページ43

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時間には余裕があるのに、心は切羽詰まって仕方ない。

ため息を吐きつつ、身支度をしていれば
もうほぼ終わりがけの頃に、着信が入った。

「日和……」

さすがに無視する訳にもいかないよね。

「……もしもし」

『おはよ、』

「あ、おはよう……」

その要件が自分であることは流石に察するから
『どうしたの？』なんて、野暮なことは聞けなくて。

『鍵開けて』

「え、」

『今、Aの部屋の前にいる』

「え！自主練は…っ！」

『行ける訳ないよね』

ロックを解除すれば、
電話越しに扉が開く音がした。

いや、まさか来るなんて思わないじゃん。

色々吹き飛んで、今は衝撃しかない。

「………A」

「ひより」

ピリついた雰囲気が初っ端から流れる。

「………何かあると、すぐ無視するのやめて」

優しすぎて不安、って思ってたけどさあ。

やっぱり喧嘩は嫌だなって思うし、
普段怒らない分、怖いよ。

少なくとも、目の前の日和は。

「言ってくれなきゃ分かんないよね」

「な、にもない、本当に７時に寝ちゃって…」

「さすがにバレると思わない？そんな嘘」

「何で疑うの」

「わかりやすいんだよ、いつも」

いつもの日和は、
ずっと微笑んでるように目尻が下がってて
声色だって、ずっと優しくて。

でも、今目の前にいる彼はいつものそれじゃない。

「何かある度に無視決め込んで察してほしい、って」

「子供じゃないんだからさ、そろそろ辞めて」

わかってる、そんなん自分が1番わかってるのに。