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______side.Kento*
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私が強引に進めた話だったからこそ、怖かった。
五条さんに口説かれていることも、
それに対する彼女の反応も。
私への気持ちも。
嫌われていないことは確かだが、
好かれている自信もない。
だから、
この際プライドも何もかも捨てて、
聞きたかった。
確証がほしかった。
最初に俯いて黙り込んだ時は
本気で心が折れそうでしたが。
背中に書かれた『す』『き』。
今は、それだけで充分ですよ。
「………あと、いつまで苗字呼びですか」
「え、…っと、ダメ?」
「名前で呼んで下さい」
全く気にならなかったんですがね。
恋人になってからと言うもの、
全てが嫉妬の対象へ変わっていく。
五条さんへの『悟くん』呼びでさえ。
「………けん、と…さん」
「…徐々に慣れていって下さいね」
「善処します」
ああ、本当に可愛いと思う。
愛おしい。
「………Aさん」
「なぁに」
「A」
「……はい」
「名前で呼んで下さい」
「…け……健人くん」
私の一挙一動で赤く染まる頬も、
潤む瞳も、全てが愛おしい。
「………Aさん、」
「ん?」
「…………触れて、いいですか」
「っ、…いいよ」
もう、誰にも渡してはやらない。
私の、私だけの恋人。
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HATHUTA(プロフ) - 感動しました…!素敵なお話をありがとうございます (8月18日 0時) (レス) @page30 id: f9b555f004 (このIDを非表示/違反報告)
しゃちほこ(プロフ) - 素敵です…!! (2022年2月6日 20時) (レス) @page30 id: ecbd4790eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:若鷹 | 作成日時:2022年1月12日 22時