DeaR 【七海健人】 (ページ15)

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＿＿＿＿＿＿side.Kento*

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( ＿＿＿＿＿＿袖が濡れている )

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いつからか明確な日付は覚えていません。

理由はわからないが、袴を着ることが少なり
神社から離れて、高専に来ることもある彼女。

その日は気味が悪い程よく晴れた空だった。

「しゃけ、」

「？…なんだ？」

「おかか〜！」

「だ、誰だぁ！あの綺麗な女の人は！」

「初めて見る顔だな」

高専に用事があり、
立ち寄ったら生徒さんが騒いでいた。

そちらへ目を向ければ、私服のAさんがいた。

何故ここへ…？

「悟くん」

「キミからここに出向くなんて珍しいね」

「少しお願いがあってね」

「……あっちで話そうか」

どうやら、五条さんに用事があった様だ。

どのような用事なのかは検討も付きませんが、
ここでも痛感する。

貴方が信頼してるのは、やはり五条さんなのか。

私では貴方の力にはなれないのか。

悟られないようには気を付けてきたが、
それでも、貴方に近付く努力はしてきたつもりだ。

意味は、なかったのかもしれないけれど。

「あれ、ナナミン」

「！……Aさん」

「どうしたの？」

ボーッとしていたのか、
先程、五条さんといたはずの彼女が目の前に立っていた。

「…貴方こそ、何故ここに？」

「………んー、まあ私用でね。」

「そうですか」

悲しそうに彼女は笑い、
『じゃあね』と立ち去ろうとする。

何故だろうな。

直感か、何かが
彼女を引き止めろ、と言った気がした。

「待ってください」

「っ…」

通り過ぎようとする彼女の腕を掴んだ。

そして冒頭へ戻りますが。

引き止める際に握った彼女の服の袖が、
湿っていた、

否、濡れていた。

＂その意味＂が分からない程、鈍くはなかった。