3* ページ12
.
.
___side.Kento*
.
五条さんに伝えてはいない。
許可すら取っていない。
全ては、私の独断だ。
「………Aさん」
「なぁに」
もしかしたら、この笑顔を奪ってしまうかもしれない。
でも。
「今から話すことを信じるか否は貴方に委ねます」
何かが変わってしまうとしても、
知らなければないない、知っていてほしいと思った。
私のエゴだとしても。
簡易的に、でもしっかり理解して頂けるように伝えた。
『呪い』のこと、『帳』のこと、
私や五条さんがその関係者であり、『呪術師』であること。
また、Aさんも同様であることも。
話してる途中に、彼女をチラリと見れば
その丸く大きな瞳に涙の膜が張っているようだった。
「……そっか」
「こういった呪いが視える人間の方が少ないので、あと…外部との関わりが少ない貴方の様な環境では、知らなくて当然でしょう」
本当は、何も知らずに
綺麗なまま、哀しみを知らないまま生きていてほしかった。
その純粋無垢な瞳を濁らせたくなかった。
でも、もう貴方の身体だって限界なのでしょう?
「……代々受け継いできた宿命とか、遺伝だと思ってた」
「視えることも、短命なのも」
「でも……全部祖母から母に、母から私にかけられた呪いだったんだね」
悲しそうに笑う彼女にかける言葉が出てこなかった。
「…しかし、ご両親に愛されていた事実は変わりません。
それだけは覚えておいて下さい。
貴方は、ご両親に…皆に望まれて産まれてきた。」
愛が、希望が…姿を変えてしまっただけの
悲しすぎる物語だ。
83人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
HATHUTA(プロフ) - 感動しました…!素敵なお話をありがとうございます (8月18日 0時) (レス) @page30 id: f9b555f004 (このIDを非表示/違反報告)
しゃちほこ(プロフ) - 素敵です…!! (2022年2月6日 20時) (レス) @page30 id: ecbd4790eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:若鷹 | 作成日時:2022年1月12日 22時