Hug Me Tonight【P】～第２章～ (ページ40)

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散らばった記憶ページ40

海に面したレストランに着く頃には
あたりもうが暗くなり始めていた。

兄が連絡を入れておいてくれたおかげで
海が見える席で食事をすることができた。

どれくらい経った頃だったか
外の様子がおかしいことに気がついた。

みぞれ混じりの雨がいつのまにか雪に変わっていた。

しかもいらない間に
かなり積もっている。

「これじゃあっくんを走らせて帰るのは無理だ・・・。
どうすればいい・・・」

窓の外の様子にトモくんはとても困った様子だった。

私は兄に電話をした。
兄も雪で身動きがとれずカードックに泊めてもらうことになったらしい。

私たちが食事をしたレストランはオーベルジュという宿泊設備を備えたレストランで
一日に三組だけをおもてなしする宿だった。

本当は宿泊しなければ食事ができないのだけれど
兄が友達であるオーナーに特別に頼んでくれてディナーの予約を取ってくれた。

その日はたまたま一部屋だけ空きがあり
おもてなしにひと組分の余裕があったのだった。

だから・・・・兄からオーナーに話を通してもらって今夜はそこに泊めてもらうことに・・なった。

宿泊施設のコテージはレストランから少し離れたところにある。

トモくんと私は降り積もった雪の上を滑らないように気をつけながら
コテージへ向かった。

あまりにも私がツルツル滑るので
みかねたトモくんが私の手を取ってくれた。

「なんだか・・・母親を助ける息子って感じ・・・」
私がクスッと笑いながら言うと

「息子じゃないよ」
振り返りながらトモくんが言った。

「そっか・・・。そうだね・・・お姉ちゃんを助ける弟・・・？かな？」
そう言った瞬間だった。

段差につまずきそうになってよろけ、私は後方からトモくんに抱きつくような格好になってしまった。

その時・・・
不思議な感覚におそわれた・・・

待って・・・
この感じ・・・どこかで・・・？
あれ？

雪が降ってて・・・それで・・・

そう・・・
あの時も同じような会話を交わした・・よね？

息子だとか
息子じゃないとか言い争った？？

私の脳裏に断片的に散らばった記憶に・・・私自身が混乱していた・・・