40両目 ページ43
なんと、男性二人が入り口に背を向ける形で湯船に浸かっていたのだ。Aは驚きを通り越して、やけに冷静になる。よく見るとその男性二人は賑やかしサブウェイ兄弟だった。二人はAの叫び声がした後に振り向き、彼女と目が合う。
「え!?どういう状況でございますか!?」
「もしかしてここに忘れ物しちゃった?」
どうやら上司たちは、Aは入浴を済ませて、忘れ物を取りに来たのだと勘違いしている模様。どこでこの勘違いが生まれてしまったのやら。Aにとっては大困りである。
「クラウドに入ってきていいよって言われて、中浴場の中確認しても電気付いてなくて、」
「ですので、てっきりAさまは入浴を済ませているものかと思いまして…。」
「だからカズマサとクラウドのせいだね!」
疲れ切っているAはそれに納得するほか無く、「そういうことだったんですね」と返しておいた。
ところでいつも通り上司と会話をしているのだが、今上司二人は全裸で入浴中である。疲れすぎてそんなことも気にしていなかったなんて。
謝って退散しようとした瞬間、急に上司たちが騒ぎ始めたのだ。
「なんということでしょう!Aさまに入浴している姿を見られてしまいました!」
「僕たちお嫁に行けなくなっちゃう!?どうしようノボリ!」
Aは思った。この人たち、深夜テンションすぎんか。
騒ぎ立てる上司を見て、また冷静さを取り戻す。
「ノボリさんクダリさん、事故とはいえ大変失礼しました。それではごゆっくりどうぞ。」
そう言ってまだ騒いでいる上司たちを放ったらかしにし、静かに中浴場の入り口の扉を閉める。
見えていなかったとはいえ、あの二人は全裸だったのだ。以前お風呂上がりのノボリの上裸姿を見たことはあったが、話が違う。Aにとってはかなり刺激が強すぎたのだ。シャツやスラックスの上からでは分かりにくかったのだが、それなりに整った体をしていて___
シャワー室への移動中、顔に熱を帯びていることに気づく。それを肯定したくなかったため、少し俯いて下唇を噛みながら歩いた。
「寝る前に興奮するものを目に入れてしまったから、今夜はなかなか眠れそうにないなあ。」
小さくため息をつき、スラックスのベルトを外した。
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黄々(プロフ) - 黒曜楼乱さん» コメントありがとうございます。迷いに迷いましたっ…!これからも応援よろしくお願いします! (2022年3月26日 20時) (レス) id: 508fa87563 (このIDを非表示/違反報告)
黒曜楼乱(プロフ) - ノボリオチ…だと!?!?最高ですありがとうございます!!応援してます!! (2022年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 7e59e19b9f (このIDを非表示/違反報告)
黄々(プロフ) - 眠い羊ちゃんさん» コメントありがとうございます。恐縮です。好きになってくださってありがとうございます! (2022年3月12日 16時) (レス) id: 508fa87563 (このIDを非表示/違反報告)
眠い羊ちゃん(プロフ) - この作品大好きです!更新楽しみにしています! (2022年3月12日 0時) (レス) @page26 id: 0bb018741b (このIDを非表示/違反報告)
黄々(プロフ) - カミツレ味噌五郎さん» コメントありがとうございます。大変嬉しいです!これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2022年3月11日 22時) (レス) @page24 id: 508fa87563 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄々 | 作成日時:2022年2月25日 11時