37両目 ページ40
Aがギアステーションに入社して、4ヶ月になろうとしていた。季節はもう真夏になっているにも関わらず、サブウェイマスターとその勤務補佐たちは、暑苦しいロングコートをバトルの時は着用しなければならない。最近の勤務中の楽しみといえば、バトル後の執務室への移動である。冷房がガンガンに効いている部屋へ飛び込み、ロングコートを脱ぎ捨てるというルーティーンが至福であった。
この日Aはクダリと共にダブルトレインに乗車し、バトルが終わって執務室へ向かっている途中だ。執務室の冷凍庫にノボリが買って来てくれたヒウンアイスが待っているということで、二人は夢中になって足を動かしている。
「バトル負けちゃったの悔しい！でも今はヒウンアイス早く食べたい！」
「同感です。悔しいけど夏の誘惑には勝てません。」
二人はすごい勢いで執務室へと入室し、ロングコートを脱ぎながら自分の座席へと着いた。ノボリは本日のバトルを全て終えたため、既に半袖のシャツに着替えており、涼しい顔でヒウンアイスを頬張っている。二人の慌ただしい帰還に何のリアクションもせず、いつもの表情で「おかえりなさい。お疲れ様でございます。」とだけ言った。その後に、またアイスを頬張る。
口の端に着いたアイスを舌でぺろっと舐めとる仕草が、Aにとっては何とも言えないほど色っぽく感じられた。だが本人には内緒。自分が上司のことを変態目線で見ていると誤解されたく無いからだ。
「ノボリさん、今日は私もクダリさんも負けてしまいました。トウヤくんに。」
「悔しすぎる！あの子急激に強くなってる！それよりもアイス食べよう！」
「食べましょう食べましょう。」
3人とも夏は嫌いだ。理由はただ一つ。ロングコート着用がキツすぎるためである。3人にクールビズが適用されているのは、バトルサブウェイに乗車していない時だけだ。
でもまあロングコートは一種のトレードマークのようなものなので仕方ないなとAは思っているし、このロングコートが自分の地位と居場所を守ってくれているような感じがして、とても誇らしいとも思っていた。
「後でバトルレコーダーを3人で確認しましょう。二人の敗因について吟味するのでございます。」
「私、今日は調子良かった方だと思うんですよね。モグリューとデンチュラ、最近勢い出てきてるのに…。」
この日は3人で仲良くヒウンアイスを食べながら作戦会議をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黄々(プロフ) - 黒曜楼乱さん» コメントありがとうございます。迷いに迷いましたっ…！これからも応援よろしくお願いします！ (2022年3月26日 20時) (
レス) id: 508fa87563 (このIDを非表示/違反報告)
黒曜楼乱(プロフ) - ノボリオチ…だと！？！？最高ですありがとうございます！！応援してます！！ (2022年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 7e59e19b9f (このIDを非表示/違反報告)
黄々(プロフ) - 眠い羊ちゃんさん» コメントありがとうございます。恐縮です。好きになってくださってありがとうございます！ (2022年3月12日 16時) (レス) id: 508fa87563 (このIDを非表示/違反報告)
眠い羊ちゃん(プロフ) - この作品大好きです！更新楽しみにしています！ (2022年3月12日 0時) (レス) @page26 id: 0bb018741b (このIDを非表示/違反報告)
黄々(プロフ) - カミツレ味噌五郎さん» コメントありがとうございます。大変嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2022年3月11日 22時) (レス) @page24 id: 508fa87563 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黄々 | 作成日時：2022年2月25日 11時
