かれしゃつ ver.37 @req ページ9
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『…やば、どうしよ……。』
「ん？どうしたの？」
飲み会終わり、スマホの画面を見て表情を暗くする彼女に声を掛けた。
彼女は困ったように笑いながら、なんでもないよ、と言って小さくため息をつく。
「なに、俺とAちゃんの仲じゃん。教えてよ。」
『あー…実はね、』
きょろきょろをあたりを見回して、誰も聞いていないことを確認した彼女は、スマホの画面を見せてくれながら小さな声で言った。
『日曜なのを失念しておりまして、終電がなくなっちゃったんだよね。』
ここで俺達は、なぜかタクシーを呼ぶという選択肢を出さなかった。アルコールに脳がやられていたのかもしれないし、終電がないというこの状況を、ふたりとも心のどこかで喜んでいたのかもしれない。
自分も彼女に倣って、誰にも会話を聞かれていないことを確認してから、そっと耳打ちした。
「…俺んち、おいでよ。」
⸺と、いうのが約1時間前の話。
あの後すぐに、「同じ方面だから送っていくわ」と、半分嘘で半分本当の事を言って彼女とふたりきりになる状況を作った。
なぜか泊まる準備が万端なのを知ったときは笑ってしまったが、それもなんだか彼女らしく思えた。
今彼女は紛れもなく俺の家でシャワーを浴びていて、時折鼻歌が聞こえるところを察するに、ほろ酔いで良い気分なのだろうと窺えた。
本当に、何もしないようにしないと。
いつもの距離感で来られたらうっかり手を出してしまいそうになるな、なんて叶ってほしいフラグを立てながら、適当に動画サイトを見漁る。
ちなみに、内容は全く頭に入ってこない。
『りょうくん、おふろいただきました。』
タオルを肩にかけて、濡れた髪の毛を垂らしながら彼女が脱衣所から出てきた。
「ん、シャンプーとか分かった？」
『うん、わかった。服も、ありがとね。』
ふにゃ、と笑う彼女は、しっかり温まってきたのか頬を赤く染めていた。
「風邪引くから髪の毛乾かしなよ。」
『…あとでする。』
「先にしないと眠くなるよ？」
『もう、ねむい、』
「あらら、しょうがないなぁ、」
ドライヤーを取って来てから、おいで、と膝の上に座らせると、彼女はすぐに船を漕ぎ始めた。
そんな彼女の長い髪が絡まってしまわないように、丁寧に丁寧に乾かしていく。
『ごめ、これ使って、』
「はいよ。」
ヘアオイルが手渡されると、彼女は突っ伏して眠ってしまった。
相変わらず無防備だな、と思いながら、なかなか乾かない彼女の髪の毛に指を通した。
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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます！更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (
レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました！癒されました！また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがみみお | 作成日時：2023年12月12日 11時
