笑顔の残像 #7 ページ26
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第一印象は、『え、もどってきたの？』だった。
その背中を見つめるだけで涙が浮かびそうになって、背ネームをよく確認もせずに飛び付く。
『まさたかさん、』
「え？」
『…え？』
確かに、本人だと思ったのに。
見上げたその人は全くの別人だった。
「…誰？」
『え、あ、』
とりあえず受け止めてくれたその背中を離れて、お互いが顔を凝視し合った。
この人は、西川龍馬だ。
移籍してきたばかりでまだ挨拶もしていなかったけれど。
『…AAです。用具担当です。』
「おー。あ、こないだそこで寝てた子ちゃう？」
『そうです…。』
やっぱりなーと彼は薄い唇を引き上げて笑った。
大きな失礼を働いてしまった気がするが、あまり気にされていないらしい。
「オリックスってみんな仲良いなぁと思っててんけど、スタッフとも仲良いん？」
『…多分？』
「返事微妙すぎるやろ。てか自分何歳？」
『95年生まれの、28です、』
へぇ、と彼は自分の顎を撫でた。
一瞬遠くを見た後、大きく表情を変えることもなく続ける。
「ほな一個下か。見えへんなぁ。」
『…見えないですか？』
「おー。だいぶ子どもっぽく見えるで。」
子どもじゃないです、と唇を尖らせてしまったが、こういう仕草が子どもっぽく見えてしまうのだろうなと反省した。
「そのへんで寝るのも赤ちゃんみたいやん？」
『…う、そうですかね、』
「そうやで。そうやけど…。」
彼の手が首筋に向かって伸びてきた。
何事かと身を竦めたが、逃げるほどの反射神経は持ち合わせていない。
伸びてきた手は髪の毛を梳くように弄んだかと思うと、ぽんと頭を撫でてから引っ込められた。
「赤ちゃんのくせに香水とかつけるんやなぁ。…ま、俺好みじゃないけど。」
『なっ…！』
失礼な、と声を上げようとしたのを見て、彼はハハッと声を上げて笑った。
「すぐ怒るとこも子どもっぽいなぁ？」
『さいあく、です…！』
どこにぶつけるわけでもないのに、ぎゅっと拳に力がこもる。
「お？やるかー？」
『う、』
「できひんよなぁ？スタッフさんやもんな？」
『むかつく…！』
本気で殴るつもりはないけれど、握った拳を振り上げた。
その時。
「良いね、さすが大阪。気強い人好きやわ。」
『へ、』
その手を引かれて、なぜか彼の胸にダイブしていた。
「これからよろしくなぁ？Aちゃん？」
『…ぅ、』
笑った時の白い歯だけは似ていると思いたくなかった。
それくらい、魅力的な笑顔だった。
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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます！更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (
レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました！癒されました！また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがみみお | 作成日時：2023年12月12日 11時
