親心と反抗期 #2 @req ページ19
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いつもと変わらない毎日。
少しだけ入れ替わるメンバー、いつもの練習、いつものルーティーン、いつものタイムスケジュール。
そして何よりも変わらない、ただ眠そうに仕事を遂行する彼女。
「Aちゃん、気をつけてよー。」
うとうとしながら立ち止まったり歩いたりを繰り返す彼女に声をかけた。
『ん、だいじょーぶ、』
「そうは見えないから声かけてるんだよ。」
『心配症だなぁ、けんけんは。』
彼女はまるで親を鬱陶しがる子どものように、少し気怠げにそう言った。
さらに心配の言葉をかけようとしたのを制して、彼女はひらひらと手を振ってどこかに行ってしまう。
これ以上深追いして嫌われても困るし、彼女が大丈夫と言うならそうなのだろうと思い、自分もその場を去った。
▽
その、ほんの数分後。
『…わっ、』
「えっ、」
どてっ、というか、ずざっ、というか。
そんな音を立てて、割と真横でAちゃんがズッコケた。
その拍子にAちゃんが持っていた道具がその場にぶちまけられて、近くにいた人たちがわらわらと集まってきた。
『ぁ、ごめっ、』
「大丈夫大丈夫。ケガしてない？」
眠そうにしてるからだよ、とは言わず、戸惑った表情の彼女を抱き起こした。呆然としている彼女の膝をぱんぱんと払ってやりながら、ケガはないかを確認する。
『手、……っ、』
「手痛いの？…あーちょっと擦り剥いちゃったかな。」
『…うぅー…。』
「あー泣いた。」
ちょびっとだけ擦り剥けた手のひらを見て、大げさだなぁと笑いながら抱き締めた。
「痛かったの？よしよし。」
『ぐすっ、ん、痛い、』
「そうかそうか。…よっこらせ、っと。」
『うー……ぐすっ、ぐすっ…、』
成人女性を抱っこしながら背中をとんとんと叩いてあやす構図。ちょっとおもしろいというか不思議な構図だが、周りの人は「あらあら〜」なんて笑っている。
「大丈夫だよ。ほらもう片付いちゃった。こんなのミスでも何でもないでしょ。」
『んん、ありがと…、ぐすっ、』
「いえいえ。いい子だから泣き止もうね？」
がんばる、と彼女は呟いて、肩に顔をこすりつけてきた。
じわりと涙が染み込んでくる感覚がして苦笑する。
『…もう、だいじょぶ、』
「はいよ。頑張って。」
そっと降ろすと、彼女は恥ずかしそうに俯いた。
これが同い年なんだから本当に放っておけないなぁなんて思いながら頭を撫でると、彼女はまたほんの少しだけ、鬱陶しそうに眉をひそめた。
イヌ科のなにか #39 @req→←止まり木 #96 @req
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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます！更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (
レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました！癒されました！また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがみみお | 作成日時：2023年12月12日 11時
