止まり木 #96 @req ページ18
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『うだちゃん、』
「はい、…眠いです?」
うん、と呟くと、彼は何も言わずに抱き締めてくれた。
がっしりした体に包まれるとすぐに安心感で満たされていって、勝手にまぶたが閉じていってしまう。
『…寝ちゃう、』
「ちょっとだけあっちに行きましょうか。」
ぽんぽんと頭を撫でられて、そのまま腕を引かれる。
いつもどおり賑やかな投手陣から離れて行って、少しだけ静かなフェンス際に座った。
ぽてんと隣の彼にもたれかかると、少しだけ不思議そうにした彼は私を持ち上げて膝の上に乗せた。
『わ、』
「はい、ぎゅーしましょ。」
『…ふふっ、うん、』
「何が面白いんですか?」
『ううん、なんでもないよ、』
彼はあぐらをかいていて、私はその上に向かい合って跨っている。木のぼりするコアラみたいに脚も腕も絡めて抱き着くと、ちょうどいい位置に彼の肩がきたのでそこに頭を乗せた。
『やったあ、』
「?…嬉しいですか?」
『ん、うだちゃんにぎゅーできるの嬉しい、』
「俺もAさんにぎゅーされるの嬉しいっす。」
知らない人が見たらぶっちゃけいかがわしい体勢なんだろうなと思ったけれど、彼は何食わぬ顔で、このほうが抱き締めやすいから当然だと言いたげな顔だ。
片腕でしっかりと支えてくれて、もう片方の手は抱き寄せるように頭を撫で、そしてぽんぽんと背中を叩き始める。
『…あかちゃんじゃないよ、』
「知ってますよ。この方が寝れるかなと思って。」
『…うん、寝そう、』
「でしょ?」
もう何かを話すのも野暮な気がして、私は彼に全体重を預けながらどちらのものか分からない心音に耳を澄ませる。
少しゆっくりな気がするからきっと彼のものだろうな、なんて考えていると、急速に視界が閉じ始めた。
『…んん、』
「寝ていいですよ、しばらくこうしとくんで。」
『ありがと、…へへ、ゆーきくん、』
「…うん、」
『あったかい…。』
少しだけ腕に力を込めると、彼も片腕でそれに応えてくれる。
この香りなんの香水だっけ、とか考えてみるけど、もうそこまで頭は回らないようだ。
「…A、」
『んぅ…?』
「優希、がいいなぁ、」
ぼんやりとする頭では何も考えられなくて、ただ言われたことだけを繰り返す。
『ゆーき、が、いい…。』
「うん、俺もAが良い。」
何が?って聞き返したかったけれど、もう声を出せるほど覚醒していなくって。
ただ彼に包まれていることだけを確かに感じながら、私は意識を手放した。
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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます!更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました!癒されました!また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがみみお | 作成日時:2023年12月12日 11時