抗えない #37 @req ページ16
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「Aちゃん、もうちょっと頑張って。」
『…う、むり……。ねむい…。』
グラウンドの隅っこでふらふらと歩く彼女は、仕事中だというのに今にも眠りそうな様子だ。
「お仕事でしょ。頑張れ。」
仕事についてはプライドが高い彼女は、きっとここで眠ってしまうのを良しとしないだろう。そう思って叱咤激励すると、彼女は頷いてごしごしと目をこすった。
『…んー……よし、がんばる…。』
「うん。頑張れ。終わったら抱っこして帰ってあげるから。」
『りょうくん、ありがと、』
ふにゃ、と笑って仕事に向かう彼女は、ほとんど目が開いていないように見えた。
そうは言っても、仕事中に眠そうな素振りを見せるのは珍しいなと思って、球場内に彼女の姿を探す。
眠くても働く。働いている時は眠そうにはしない。休憩になったり練習が終わったりした途端電池が切れたように眠る。それがAちゃん。
もしかして具合が悪かったのかな、と心配になりながらぐるりと辺りを見渡すと、立ったまま壁に手をついて俯いているAちゃんが少し遠くに見えた。やっぱり様子がおかしい。
声をかけるために小走りで駆け寄る。あともう少しというところで、ぐらりと彼女の体が傾いた。
「Aちゃん！」
『…う、……りょう、くん…？』
そのままずるずると座り込む彼女。こちらを見上げる余裕もないのか、俯いたままでぺたんとお尻を地面に付けてしまった。
「大丈夫!?体調悪い？」
『ちが、なんか、ねむくて、』
それはいつものことだろう、と微妙にツッコみたくなったが、今はそれどころではない。倒れ込みそうになる彼女を支えながら顔をのぞき込んだ。
「眠いの？いつもと違う？」
『……ん、むり、ねちゃう、…や……ねたくない…、』
「そうだね、お仕事頑張りたいよね。」
駄々をこねるように縋りついてくる彼女をそのまま抱き上げた。
意思に反して限界を迎えているだろうから、休んだほうがいいと判断してスタッフルームに向かう。
「大丈夫。もうすぐ練習終わるから、片付けのタイミングで万全になるように少し寝よう？」
『や…、ごめんなさい、ねちゃダメなのに、』
「ううん、いいんだよ。ちょっと休んじゃお。俺が連れ去ったことにしとくからさ。」
『う、りょうくん、…ありがと……、』
言い終わると、だらんと彼女から力が抜けた。
こんな時くらい頼ればいいのにと思いながら、彼女のあどけない頬にキスを落とした。
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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます！更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (
レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました！癒されました！また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがみみお | 作成日時：2023年12月12日 11時
