8話 ページ9
甲板に戻るとみんながこっちに来た。
「お、抱っこしてもらってんのかぁ？」
「俺たちにも抱っこさせてくれよ」
「駄目だ駄目だ！今日は俺と一緒だもんな？」
そう言い伸びてきた手から私たちを遠ざける。だけどそんなことお構いなしにウタが前にいたベックさんに手を伸ばした。
「あっ、ベックさんだ！ベックさん抱っこして！！」
「ウタ！？」
「ギャハハハ、お頭ウタに振られてやがる！」
「くっ……ま、まぁAがいるからな！滅多に甘えないAの抱っこなんてそう出来るもんじゃない」
両手で抱え直そうとするお父さんに、そのまま大人しくしていたけど隣にホンゴウさんがいるのが見えて思わずそっちに手を伸ばした。
「……あ、ホンゴウ、さん」
「おっ？抱っこして欲しいのか？」
あ、でもお父さんが……と思ったが素早くホンゴウさんに抱えられて戻れなかった。そんな私たちの行動にお父さん以外のみんなが笑う。お父さんはと言うとショックだったのか隅っこにうずくまっていた。悪いことしちゃったかな。
「珍しいな〜Aから甘えてくるなんて！」
「……嫌、だった？」
もしそうだったらどうしよう、と涙目になりながらホンゴウさんの顔を覗く。
「…………」
「ホンゴウさん？」
返事がなくて首を傾げながらホンゴウさんの名前を呼ぶ。
「……嫌なわけないだろ。大歓迎さ」
何か手が震えてるような気がするけど大丈夫かな。
「ほんと？」
「あぁ。当たり前だ」
「えへへ、ありがとう……ホンゴウさん大好き！」
そう言うとホンゴウさんがグッと目を閉じてしまった。
「(おい、見たか今の)」
「(あぁ。ありゃ将来大物になりそうだ)」
「(可愛かったな)」
「(ホンゴウのやつ良く耐えてるな)」
「(いや良く見ろ。手ェプルップルしてんぞ)」
「(天使が小悪魔に……いやAのことだから無意識なんだろうな)」
なんてみんなが話してるのを知らずにホンゴウさんに話しかける。
「……ホンゴウさん、好きな食べ物ある？」
「ん？どうしてだ？」
「えっと、ホンゴウさんが好きな食べ物、知りたいなって……」
「そうだなぁ……あっ、この前Aが作ってくれたやつは美味かったな！あのステーキ肉の！」
「っ！ほんと！？」
「あぁ！まぁ、Aが作るやつは全部美味しいけどな〜！」
その言葉が嬉しくてふにゃりと頬が緩む。
お肉確か残ってた気がするから、ルウさんがいいよって言ってくれたら夜ご飯の時ホンゴウさんに作ろう。……喜んでくれるといいなぁ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朱音(プロフ) - 律月さん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごく嬉しいです！！更新ゆっくりめですが完結出来るように頑張ります！！ (2023年3月18日 1時) (
レス) id: ebb6df5a34 (このIDを非表示/違反報告)
律月(プロフ) - 夢主が赤髪海賊団やウタと仲良しの小説読みたいと思ってたのでこの作品と出会えて嬉しいです！続きが楽しみです！！更新頑張ってください！！ (2023年3月17日 23時) (レス) id: 206342066a (このIDを非表示/違反報告)
朱音(プロフ) - レミーさん» わぁぁコメントありがとうございます！！そう言って頂けると励みになります！！ (2023年3月17日 22時) (レス) id: ebb6df5a34 (このIDを非表示/違反報告)
レミー - 楽しみです！この作品素敵です！ (2023年3月17日 22時) (レス) @page6 id: 069b817a50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱音 | 作成日時：2023年3月13日 0時
