少女とポートマフィア13 ページ21
「嗚呼、愛いのう...」
「フリフリした洋服も可愛かったけど、
和服もまた、大人っぽさが強調されてて、
けれどまだ幼い顔との
とても良いね、」
一人の少女の周りには、大量の衣服__、
それも、"可愛らしい"ものばかりが
並べられていた。
そして着物を身に纏い、
艶やかな雰囲気を醸し出す美女と
裏社会を牛耳るマフィアの長が
その少女を着せ替え人形と化している。
........嬉々として。
_____誰がこんな場面を想像出来ただろうか。
少なくとも、裏社会に生きる奴等であれば
誰一人として思い浮かぶまい。
こんな場面を見た暁には、
驚愕なんて可愛いものでは済まないだろう。
卒倒してトラウマとなるだろう。
大人二人の愉しげな様子と反比例して
少女のただでさえ無表情な顔が
どんどんと死 んでいく。
.....私は、確かに強さを求めてこの組織に
入りたいと願い、それを実現させた。
それは寸分の狂いもない事実だ。
それが、一体どうして私は着せ替え人形に
されているのだろうか。
____それは数刻ばかり
あれは、中原さんと挨拶周りをしていた時だった。
五大幹部と黒蜥蜴までの挨拶周りが終わり、
皆仕事の時間がバラバラだった為
予想以上に時間がかかってしまった。
誰かの部屋から見えた時計の針は
正午を過ぎていた。
「っと、悪イ、昨日の任務で捕まえた...
嗚呼...敵から情報を聞き出して、
それを元に新たな作戦を練る手筈なンだが、
俺もその作戦会議に加わらなきゃならねえ。
_____だから」
『中原さんはこの先同行できないのですね。』
「.....嗚呼、そうだ。
すまねえな、俺が提案したのに」
『とんでもない。
中原さんに非は一切ありません。
むしろ、お忙しい中ご同行していただき
感謝しかないです』
そもそも、朝に太宰から離してくれた時点で
中原さんの株はよっぽどなことが無い限り
下がりはしない程に上がっているのだ。
今だって、私を気遣って
捕虜や拷 問といった言葉を控えている
........本当にマフィアなのか、この人。
「俺はこのまま直ぐ行っちまうが...
Aはどうする?
部屋までなら送ってくが」
『...いえ、その必要はないです。
先程、首領に戻って来るよう
云われていましたので、
首領室まで向かおうかと思います』
「..................そうだったな。
その....無責任なことしか云えねえが...
頑張れよ」
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作者名:al作者 | 作成日時:2018年12月15日 15時