検索窓
今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:19,194 hit

少女とポートマフィア12 ページ17

『___私は、Aです。
それ以外の何者にもなれません。

ただの、貧民街出身の孤児です』



首領を真っ直ぐに見つめて
そう告げる。
嘘偽りのない、信実を。



「...云う気はないようだね」


『いいえ、そうではないです。
ただ、明かすのは今ではないと判断したまでです。

____云うのなら、首領、貴方だけに云います』



自分がこの世界において異質な存在であることは
理解していた。

故に、危険視されてしまう事もまた理解していた。


そうなると、強くなる前に、幸せになる前に、
私の存在が消されてしまう可能性が
大いに出てきてしまう。





だから、今ではないのだ。




「__そうかい、理解した(わかった)よ。





ポートマフィアへようこそ、
今日から此所が君の職場だよ」


『...!ありがとうございます...』



私の思いを汲んでくれたのだろう。
危険粒子となるかもしれない私を、
受け入れてくれた...。


ほっとして、思わず今まで保ってきた
表情筋が緩む。



「!..................ほう。
時にA君」


『はい』


「その服装では、此所で働くのに何かと不便だろう?

後で服を用意するからまた来なさい」


『確かに、そうですね。
ありがとうございます』









親切な申し出に素直に頷いた私に、
部屋を出た後、
中原さんが何やら激励の言葉を
掛けてくださった意味を
この後嫌でも理解することになるとは、

この時の私には想像もつかなかった。

少女と番外編1→←少女とポートマフィア11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:al作者 | 作成日時:2018年12月15日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。