【HQ】マドンナに狂愛されてる件【稲荷崎】

24話目 ページ26

【銀島 side】


治が念願の暁さんの弁当から、卵焼きをもらっとった。

　

「お口に合うかわかりませんが……」

「っっっっっうっまーーーーーー！！！！！！！！！！」

　

絶叫に近いクソデカボイスで治が叫んだ。

うるさっ！

俺も角名も暁さんも驚きすぎて一瞬固まった。

そんな中、1番早く回復したのは暁さんやった。

　

「んふふ、大袈裟ですよ、でも、ありがとうございます」

「いや、マジで！ヤバい！！美味い！！！」

「治、語彙力ｗ……てゆーか、そんなに？」

「おん！俺、こんな卵焼き食うたの初めてや！！他のも食べてええ！？」

「んふふ、どうぞ」

　

あの食べ物にうるさい治が、これでもかってぐらいべた褒めしとる。

ほんで、めっちゃ美味そうに食いよる。

あの治がそんな調子やで、俺も角名も暁さんの弁当が気になりだした。

　

「ねぇ、暁さん、俺も もらっていい？」

「もちろんです、どうぞお食べください」

「やった、ありがと」

「銀島さんも、よろしければいかがですか？」

「あー……、欲しいのは山々なんやけど……」

　

角名も暁さんの弁当を食い始めた。

めっちゃええなぁ、って見とったら暁さんが俺にも声を掛けてくれた。

嬉しい、食いたい……んやけど……。

　

「あ、何か食べれないものが入ってました？」

「え！？や、そんなことないで！ただ、俺今日パンやったで」

「？？？」

　

暁さんはよくわかってないっちゅー雰囲気で小首を傾げとる。

それに角名が答えてくれた。

　

「あぁ、銀、箸がないんだ？」

「せや……今日に限ってないねん……」

「あぁ、そういうことでしたか、手でつまんで頂いても大丈夫ですよ？」

　

暁さんはケロッとした様子で手掴みでええって言うてくれた。

さらに、ウエットティッシュもありますって若干ドヤ顔された。

準備ええなぁ。せやけど、やっぱ初対面の、しかも女子やし失礼になるやろ。

　

「手掴みはさすがに失礼やし、止めとくわ」

「私が気にしなくても、銀島さんがお気になさるんですね」

「まぁなぁ」

「お優しい、でしたら………はい、どうぞ」

「え？」

　

暁さんは、俺の気持ちを汲んでくれたみたいやった。

せやけど……その、それ、[あーん] やん？←

暁さんは普通にしとるけど、俺、女子からの [あーん] とか初めてやぞ！？

　

え？どないすればええん！？

おい、治！角名！！食うとらんで助けろや！！！

　

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