【HUNTER×HUNTER】願わくば、無窮の幸福を。

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痛い、痛い。ごめんなさい。

懇願するような声でそう嘆く少女がいた。薄い金髪を無造作に引っ張られ、至る所にある青紫色の痛々しい痣を何度も殴られている。これは紛れもない、いつかの私だ。

嗚呼いたい、いたい。ごめんなさい。許してください。ごめんなさい、ごめんなさい。

そう言って何度も何度も、壊れた機械人形の様に繰り返される、悲鳴にも似たその言葉達に耳を塞ぐ。

『…っ！』

衝動的に目を見開くと、其処には見覚えのある二つの顔が視界に写り混む。一瞬、物事が理解出来ずに固まってしまうが、激しく鳴り響く鼓動と、荒くなる息を鎮めるために一つ深呼吸をし、涙で滲む視界を擦る。

「A？」
「どうした、魘されていたぞ」

心配そうな表情をして声を掛けてくれるクラピカとキルアを交互にじっと見つめ、追いつかない思考で何か声を出そうと試みるが、嗚呼、何故か、声は酷く掠れて音になってはくれない。何か嫌な、とても嫌なものを見たんだ。実際に感じたあの時の感覚が全て鮮明だったのだ。

ぱしん、と自分の頬を思い切り叩く。
ひりひりと痛むそれに、次第に思考が落ち着いてくる。もう一度深呼吸をする、大丈夫だ。

『ごめん、起こしちゃった？』
「いや、起きてただけ。…Aも起きてなよ。もう」

私の様子を見て察したのか、キルアは私の目をじっと見てそう言ってくれる。安心出来る様、気を遣ってくれたのだろう。汗で濡れた首筋と額を拭うと、四方で眠りに就いているゴン達を見詰める。

「嫌な夢でも見た？」
『ちょっとだけ。でももう平気だよ』

キルア達がいるから、なんて付け加えれば照れた様に視線を逸らす。クラピカは優しい表情で此方を見据えていた。既にペナルティの時間からは37時間ほど経っていた。これからのストレッチなどを考えればそろそろ起こすのが妥当だろう。

『もうすぐだからそろそろ起こそっか』
「そうだな、手分けして起こすか」
「ほら、起きろゴン」

それぞれ手分けをしては全員を起こしてみる。ゴンはというと案の定、起きてすぐストレッチをし始めた。レオリオとトンパは未だ眠気に苛まれている様子だった。

『ほら、そろそろmeとはお別れだからね。みんな頑張ってね』

そう告げると顔を洗って着替えと化粧を始める。どちらも終わる頃には残り一時間ほどになり、良い時間となっていた。

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