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中央の足場へ辿り着いてはローブの男と相対する。そして、ローブを脱ぎさった男の顔を見るや否や真冬の冷たい湖に突き落とされた時の様に、一瞬だけ呼吸が止まる。
その後小さく漏れ出した息が震えているのが自分でも良く分かった。自身より遥かに格下なのは重々理解しているも、身体の動きがぎこちなく感じる。
「良い嬢ちゃんだなあ、殺してから楽しむとするか。デスマッチを申し込もう」
『うん、わかった』
やっと絞り出したまるで恐れをなしたかの様な情けない声に自分でも驚いてしまう。ふと後ろを向けば酷く心配そうにゴン達がこちらを見据えていた。
奴は私がまだ幼い頃、流星街でストレス発散の玩具にされたかと思えば、自身の欲の処理道具にされたりなど。思い出すと、吐き気がする様な物事を沢山、それは沢山してきた男なのだ。奴自身は覚えていないようだったが。
いつの間にか捕まったのか知る由もないが、今の私には関係ないと深く息を吸う。
けれど何故だろう。何処か気分が悪い。胸がむかむかして思考はぼやけてしまう。頭が痛い、何かがぞわぞわと這いずる感覚を覚える。
殺す価値もないけれど、これで勝たねば10時間の免除が出来なくなってしまう。自身の服に隠している獲物を全て床に投げれば素手での勝負をしようと構える。
『もう始めていい?』
「ああ、お前を嬲るのが楽しみだよ」
呑気にもそんな事を述べる相手に軽蔑の視線を送る。始め、その合図と共に男は此方へと駆け出した。
私は片足を前に出して上半身の重心を落とし、前屈みになって攻撃を待ち構える。男が一直線に走り込み、懐に一発入れようと拳を突き出そうとした瞬間を見計らい宙に飛び上がる。
「!?」
男の頭をしっかりと掴み、それを180度程捻ればごきりという鈍い音と共に、音にならない潰れた声が聞こえた。そしてそれを奈落の底へ引き摺り落とせば私の勝利となった。
『A?なんか変だよ、大丈夫?』
「顔色悪いけど」
ゴンとキルアが心配の声を掛けてくれるも上手く反応が出来ず頷くばかりしか出来ない。足が震えて今にも崩れ落ちそうだった。
「諸君おめでとう、50時間のペナルティは40時間となった。すぐそこの部屋で過ごし給え」
上空から聞こえるアナウンスも朧気に聞き流しては、思わずしゃがみこむ。今日は少し、ショックな事が多過ぎた。
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あるぱか(プロフ) - mikanさん» mikan様。コメント共にご指摘ありがとうございます。修正いたしますので、暫くお待ちくださいませ。 (2022年11月22日 2時) (レス) id: 815005bab2 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - コメント失礼します。試験官がずっと試験管で気になってしまいます。余裕があれば直していただきたい (2022年11月22日 1時) (レス) @page11 id: 482089f0ab (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - みこさん» みこ様。コメント共にありがたいお言葉ありがとうございますm(_ _)m お陰様で大変励みになります。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。 (2022年5月18日 8時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!とても面白かったです!次の更新を楽しみにしています!!(*´˘`*)頑張ってください!!応援してますっ (2022年5月18日 8時) (レス) @page31 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - オレンジさん» オレンジ様。コメント有難う御座います!イラストは頑張って仕上げた方なので大変嬉しい限りです…;; お言葉誠に有難う御座います。更新の方もゆっくりになりますが、暫しお待ち頂ければ幸いです。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます…! (2018年3月10日 20時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるぱか | 作成日時:2017年12月31日 17時