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「3つ忠告しよう。1つ、本当の旅団の証には蜘蛛の中に団員ナンバーが刻まれている。2つ、やつらは殺した人間の数なんかいちいち数えない。3つ2度と旅団の名を騙らぬ事だ。さもないと私がお前を殺す」
クラピカの言葉に、更にどくどくと手から足の先まで脈が伝わる感覚を直と感じる。瞳がぐらりと揺らいで身体の隅々が震え上がる。
嗚呼、クラピカは旅団を恨んでいるのだ。芽は先に潰しておかねばいけない。
「おいA、顔白いぞ。大丈夫か?」
「少し座ってれば?」
『へーき、全然』
レオリオとキルアも私の様子に危惧したのか声をかけてくれる。それに条件反射で小さく呟き、此方へ歩み戻ってくるクラピカを見据えた。
「大丈夫か、クラピカ」
「嗚呼私に怪我はない」
「つーか、お前に近づいても大丈夫か?」
「……。わかってはいたんだがな」
クラピカは続ける。理性では偽物だとわかっていたと。そして今では普通の蜘蛛でさえ逆上してしまうらしい。どんよりと落ち込む様子のクラピカを横目で見てはいつも通りを心掛ける。
「よし!俺で決めるぜ」
意気揚々と声を上げたレオリオに頑張ってね、と大きく声援を送る。
「さあ俺でケリをつけてやるぜ!さっさとそいつを片付けて次の野郎をだしな」
「うふふ、それは出来ないわね。まだ決着がついてないわよ」
その罪人の声音は女性の様な柔らかさと高音だった。彼女曰く、勝負はデスマッチで先程の罪人の男は生きているし負けを認めていないという事だ。
「屁理屈抜かしやがって。おいクラピカらあの死に損ないに引導を渡してこいよ」
「断る、勝負はもうついていた」
幾度もクラピカに提案して見せても、彼は断固拒否してしまう。どうやらクラピカは信念などを大事にする方らしい。戦意を失った相手を殴った事について酷く悔やんでいた。
そんなクラピカの様子にレオリオ多数決を試みるも、誰も挙手をしない。レオリオは拗ねた様に隅の方へとしゃがみ込んだ。
『ねーえ、拗ねないでよ』
「うるせえ!お前は多数決に関係ないだろ」
『そうだけどさあ、一応は協力関係なんだし…』
何度慰めてみても窘めてみてもレオリオはへそを曲げたきり一向に此方を向き直らない。またもやにっちもさっちも行かぬ状況に小さく溜息をついた。
そして、クラピカの件を思い出しては、自身でも顔を顰めているを察してしまう。折角出来た大切な友人なのに。再度息をついては一度瞼を落とした。
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あるぱか(プロフ) - mikanさん» mikan様。コメント共にご指摘ありがとうございます。修正いたしますので、暫くお待ちくださいませ。 (2022年11月22日 2時) (レス) id: 815005bab2 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - コメント失礼します。試験官がずっと試験管で気になってしまいます。余裕があれば直していただきたい (2022年11月22日 1時) (レス) @page11 id: 482089f0ab (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - みこさん» みこ様。コメント共にありがたいお言葉ありがとうございますm(_ _)m お陰様で大変励みになります。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。 (2022年5月18日 8時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!とても面白かったです!次の更新を楽しみにしています!!(*´˘`*)頑張ってください!!応援してますっ (2022年5月18日 8時) (レス) @page31 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - オレンジさん» オレンジ様。コメント有難う御座います!イラストは頑張って仕上げた方なので大変嬉しい限りです…;; お言葉誠に有難う御座います。更新の方もゆっくりになりますが、暫しお待ち頂ければ幸いです。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます…! (2018年3月10日 20時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるぱか | 作成日時:2017年12月31日 17時